白髪少女のトリップ記４

つまり堕天とは!? ページ18

なるほど。
つまりリッパ―の体には本人の意識とは別に悪魔に願った望みが寄生虫のような形で宿っている。
それはリッパ―の強い願いをエサにどんどん成長する、と。
･･･体への負担が凄そう。

「契約で得た力が、一人歩きを始めると…？」

「だから毒と例えた。そして、その毒の成長が進み全身を蝕みつくすほどに悪化すると…。」

寄生虫が宿主から飛び出すように、堕天という形で表に出ると。
なるほどね。

「半ば毒に身体を支配される形で悪魔に近い、異質な力に目覚める。」

「それが堕天…。」

「なるほど…。」

「原理はどうであれ、堕天はレアケースだ。
悪魔への願いをよほど強く、よほど愚直に意識し日々それしか考えていないくらいでなければ起こらない。願いのために人間をやめるようなものだしな…。」

「確かリッパ―は、弟を…魔人ボマーを倒すことが自分の正義だと言っていた気がしますわ。
そして、わたくし達がそれに横やりを入れたとも…。」

「魔人ボマーを倒して目を覚まさせ、連れ戻す･･･だったか。いずれにせよ…。」

「リッパ―より先にボマーを倒してしまった。
それが気に食わなくてこっちに近付いてきたって感じかな。
ボマーを倒した奴らがどんな奴らかを確かめるために。」

ここまでくると仕事じゃなくて完全に私怨だよね。
私怨と仕事が一致してるのもある意味凄いけど。

「リッパ―は、ボマーを連れ戻す為なら「それ以外の全てを捨てる」とまで言ってましたわ…。」

「ボマーは結局バロウズに使われてたんだからもっと目を向けるべきものもあっただろうにな。」

まあ、気付いてたとて市長に食って掛かったりなんかしたら秘密裏に処分されるだろうから、私達に怒りの矛先が向くのはある意味必然だったのかもね。

「…それくらい、ボマーの事しか見ていないんですわ。
わたくしも、あれくらいジリアンを見なければ…向き合う事なんてできないのかしら。」

今のノエルにとって、リッパ―の存在は未来の自分の形の一つ。
どの姿が正しいかなんて一概には言えないけど、それでいいの？

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