UNTITLED ページ31
A以外のビビバスメンバーが集まり、昨日話したLINEについて互いの顔を見て話し合った。
結果的には、
Aがどんな判断を下そうと、オレたちはその判断を尊重する事。
仮に死んでしまったとしても、他のDJと組む気は断じて無い事。
そしてオレは__Aをどんな形であれ、これからも愛す事を決めた。
死んでしまったら、という議題が冬弥の口から出た瞬間殴り飛ばしてやろうかと思ったが、一番現実的に物事を考えているのは彼なんだと気付き、思い留まったのはここだけの秘密でいい。
__放課後。
「__彰人さん」
昨日の事に意識を飛ばしていると、屋上でAに呼ばれた。
「…どうした?」
「一昨日、セカイで歌ったんですけどその音源を聞いてくれませんか」
そう言う彼女の顔はどこかすっきりしていた。
「何でオレなんだよ、感想だったら冬弥の方が的確なんじゃないか?」
「…言い方を変えますね」
そう言うと彼女はオレに目線を合わせて、
「貴方に聞いてもらいたいんです」
そう言ってオレが断れるわけがなかった。
再生された楽曲は「フラジール」、オレと冬弥の十八番でもあった。
「ニア」を歌っていたあの時とは桁違いだった。
何処をどう歌えばいいのかも分かっているし、歌詞によっても歌い方を分けている。
あの時の歌は感情論のような、思った勢いのまま歌っているようなそんな感じだったのに。
4分弱の楽曲が終わった後に、
「…良いんじゃねぇの?」
また、照れ隠しのような発言をしてしまうのだ。
「っふふ、良かった」
初めて、Aの笑った顔を見たような気がする。
「次のライブで、歌えるんですねぇ…」
感慨深いようにAは空を見上げる。
「…嬉しそうだな」
「そりゃ嬉しいですよ。初めてできた仲間に、一夜限りの歌手にしてもらうんですよ?」
…一夜限り。
「…駄目ですね、顔がにやけてしまう」
夢見るように、口角を上げる。
__本当にこいつ、死んでしまうのか?
「…A、お前本当に死ぬのか?」
オレは無意識の内に、そう発言した。
すると空を見上げていたAは、オレに目線を合わせる。
数秒きょとんとした後、彼女は口を開いた。
「…どうでしょう、可能性としてはfifty-fiftyですかね」
何食わぬ顔で彼女はそう答える。
嗚呼、きっと本人が一番つらいはずなのに。
叫び出したいだろうに。
誰かに助けてほしいと思っている筈なのに。
だけど神様というのは残酷で。
ライブ前の2週間なんて、流れるように去っていった。
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Luna(プロフ) - ヤバい、好き…それで泣きそうめっちゃ泣きそう…。゚(゚´Д`゚)゚。 (2021年4月25日 0時) (レス) id: d4a00b7e76 (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん(プロフ) - 死ぬっていう展開の時に失礼かもだけど、やっぱりこの作品好きだな…… (2021年4月24日 13時) (レス) id: bc0f9be876 (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん - ありがとうございます。お話は全然変えなくて大丈夫です。このままの方が作者様のオリジナルの素晴らしい作品になるのでそこに私が入ってしまうとなんか違う気がしますので、最後まで応援させていただきます。本当にありがとうございます。 (2021年3月17日 18時) (レス) id: bc0f9be876 (このIDを非表示/違反報告)
キリノ(プロフ) - のんちゃんさん» 感想ありがとうございます。物語の結末はもう決まっていて、ここから変えてしまうのは不可能ですが最後まで応援していただけると嬉しいです。知り合いの方には、ご冥福をお祈り申し上げます。私も経験しているので心中お察しします。不快になられてしまったらすみません (2021年3月15日 20時) (レス) id: fda9b97bde (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん - 暗い話をしてしまい、ごめんなさい。嫌でしたら、コメントを消してくださって構いません。 (2021年3月15日 19時) (レス) id: bc0f9be876 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キリノ x他1人 | 作成日時:2021年2月26日 10時