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風邪が完治し、そろそろ本格的にお店も再開しようと張り切るAは、両手いっぱいにビニール袋を提げて歩く。さて、この数日間の売り上げを取り戻そうか。

やる気満々で颯爽と歩いていると、平日の昼間には見ない筈の姿が。



「 .. 三郎?何してんの、」
「 うわ、星川A。」

三郎は明らかに嫌そうな表情を此方に向けると、直ぐに視線を元に戻す。座り込む三郎の手元を見ると、其処には可愛らしい猫が。Aが「.. 猫ちゃん、」と呟くと、三郎の手に戯れていた猫が突然ぴゅーっと逃げ出す。

地味に落ち込んでいると「.. お前の所為で逃げられた、」と三郎の小さな声。

にしても今日の三郎にはどことなく覇気が無い。


「 .. で、君は何やってんの? 」
「 .. 別に、」

お前には関係無い、と小さく呟く三郎とは全く目が合わない。

元々此奴は私の事が嫌いだし、どうせ何の質問をしてもお前には関係無いの一点張だろう、これでは拉致が開かないと、Aは苦笑いしながら溜息をつく。俯く三郎の顔には感情が無い。

そんな三郎とは裏腹に、Aは「よっこらせ、」と三郎の隣に腰掛ける。


「 .. どうせ一兄に言うんだろ。」
「 はは、何をだよ。」

珍しく投げやりになっている三郎に笑って返すと「.. お前のそういう所が気に食わないんだよ、」と小さな声が返ってくるから「そりゃどーも。」と適当に答える。



二人の間に静寂が流れる中、其れまで何も話さなかった三郎が小さく口を開く。




「 .. なんで何も聞かないんだよ、」
「 .. 、」

「気になるんだろ?聞けよ、」と嘲笑って煽ってくる三郎に、Aは安心した様子で苦笑いを浮かべる。たった数回関わっただけだったので飛んだマセ餓鬼だと思っていたが、やはり普通の中学生ではないか。


学校を抜け出してきた理由は大方予想がついている。しかも抜け出したのは今日だけでは無く、時々サボっては時間を潰して家に帰っているのだろう。


「 .. さてと。行くか? 」
「 え .. ? 」
「 暇だろ?ちょっと構ってよ。」

ぴょんっと立ち上がったAは「退屈凌ぎにはなりそうじゃね?」と人生大逆転ゲームの写真が映った携帯を見せる。

馬鹿だろ、此奴だって色々やる事ある筈なのに。とスーパーの袋を横目にそんな事を思う。

三郎の“ 帰りたくない ”という気持ちをまるで悟ったかの様だが、あくまでも自分に付き合ってもらう様な態度を取るAに、三郎は「.. 本当、馬鹿過ぎ、」と自嘲気味な笑みを溢した。



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貴音(プロフ) - バナナさん★さん» え〜〜!とっっても嬉しいお言葉ありがとうございます(泣)頑張ります! (2019年3月10日 23時) (レス) id: a10fb49cbb (このIDを非表示/違反報告)
バナナさん★(プロフ) - 最高!!!!!!!!頑張ってください!!!!!!!! (2019年3月10日 23時) (レス) id: 954026d09d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:貴音 | 作成日時:2019年3月10日 12時

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