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どうやらあのまま目を覚ます事はなかったらしく、起きたら朝の8時だった。しまった、せめて左馬刻さんにお礼の言葉くらい言っておけばよかった。この後絶対貸し借りの話される、最悪だ。
体はすっきりしてるし、熱も下がってる。とりあえずシャワーを浴びて、店内の片付けを進める。
「 A〜、忘れ物取りに来た、」
「 おおやっと来たか、これだろ? 」
洗い物をしていると、当たり前かの様に勝手に入ってくる一郎。自分の家じゃないんだぞ此処は。
すると「A〜!!やっと来れた!!」と久々に聞く彼奴の声。
「 おお!二郎!久しぶりじゃねえか〜、元気してたか〜? 」
「 当たり前じゃん、Aこそ元気だった? 」
嬉しそうに聞いてくる二郎に「昨日まで熱出てた、」と苦笑いすると「は!?病み上がりかよ!?」と驚いている。そこまで驚かなくても。私だって熱くらい出る。馬鹿は風邪引かないって言うけど、って言わせんな。
「 御前風邪引いてたなら呼べよ .. 、」
「 いや散々迷惑かけた次の日に連絡なんか出来ないでしょ .. 」
「 困った時はお互い様だろ? 」
一郎は、全く、とため息をつくと、Aの額に手を当てる。思ったより近づく距離に、女は「え、」と低い声が出る。
「 .. よし、本当に熱は無いみたいだな。」
「 御前これ女全員に同じ様な事やってんだろどうせ .. 」
「 .. ? 」
何の事だと言わんばかりに首を傾げてくる一郎に、女は呆れた様にため息をつく。おばちゃんは将来の一郎が心配だよ .. 。顔が良いし性格も温厚だからやばい姉ちゃんとかにとって食われたりとかするんじゃないかと思ってだな .. 。
そんなくだらない事を考えていると、二郎が私の背中をぐいぐいと押してくる。
「 さ、病み上がりは座っててよ。」
「 ちょ、おいおいこら、! 」
強制的に座らされ、「今日はもう店は開けない、片付けは俺がする。それで良いな?」と急に兄貴面する二郎に、Aは思わず「お、おう .. 、」と頷く。そんな状況を見て優しく微笑む一郎は一番お爺ちゃんみたいだ。
「 .. 良い弟だな。」
「 だろ?羨ましいか。」
「 .. まあ、少しだけ。」
冗談っぽく笑う一郎に対し、苦笑いしながら答えるAの表情は、嘘をついている様には見えなかった。思わず一郎が「.. A、?」と声をかけると、「.. 少しだけ、私の話聞いてくれる?」と優しく微笑む。
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貴音(プロフ) - バナナさん★さん» え〜〜!とっっても嬉しいお言葉ありがとうございます(泣)頑張ります! (2019年3月10日 23時) (レス) id: a10fb49cbb (このIDを非表示/違反報告)
バナナさん★(プロフ) - 最高!!!!!!!!頑張ってください!!!!!!!! (2019年3月10日 23時) (レス) id: 954026d09d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:貴音 | 作成日時:2019年3月10日 12時