【鬼滅の刃】月明かりに包まれて【男主】

第6話 情報収集(オリジナルシーン) ページ8

襖を何度開けても出口に近付いている様子はない。一層暗くなる屋敷に「雰囲気あるねぇ」と言いながらAは歩いていった。
目的は炭治郎たちとの再開だが、鬼がいたら情報を集めておきたい。あの鼓を持った鬼のことや、拐ったという男の子のことを。それから、鬼舞辻無惨について。彼の情報は鬼殺隊が最も欲している情報だ。弱点については恐らく情報がないだろうが、どんな人物か、今は主に何をしているか、十二鬼月とやらの情報を聞くだけでも成果になる。

「う〜ん、暇だね。次の襖で鬼が出てくれば楽しいのだけれど」

目線は次に開こうと思っている襖。先程とは違う、何だか気持ち悪い雰囲気が漂っている気がした。鬼の気配はいつもこんな感じだ。そして、Aの勘は高確率で当たる。

「んお？」

「やあ」

襖を開けると、目が合ったのは足が異様に長い鬼。彼はまさしく今、人肉を食べ終えた辺りだった。広がる血の臭いと鬼の気持ち悪い臭いが合わさって吐きそうだ。

「嫌な臭いだね。食べ方も汚いし、赤ちゃんからやり直したらどうだい？」

足の長い鬼はしばらくAを見つめ、何故か高笑いをした。さすがに予想外でAも驚く。

そして足の長い鬼は別の襖を開け、ものすごい勢いで逃げ出した。今人の子を食べたので、鬼としてレベルアップしたのだ。それにもともとの足の長さが追加されどんどん見えなくなっていく。

「聞きたいことがあるから、いなくなられるのは困るかな！」

月の呼吸 漆の型・文月発芽

文月発芽は、自分の身体の一部をとても強化できる呼吸だ。今Aが強化したのは足。これで追い付ける。
床を蹴り、こちらもものすごいスピードで走り出す。景色の移動が速い。足の長い鬼は襖を開けつつ進むので、その分追い付けるはず！

「敵前逃亡なんて見苦しいね――――鬼舞辻無惨が見たら何て言うか」

ピタリ。
鬼たちは鬼舞辻無惨の名を出すと面白いくらいに反応する。足の長い鬼は止まって震えてこちらを見た。

「さて、選ばせてあげよう。一思いに殺してほしい？それとも無惨に殺されたい？」

こんなにカタカタと震えていては情報はもらえない。だから殺そう。

「くっ……くそがぁぁぁぁぁぁ！！！」

足の長い鬼はその足で蹴りを放った。だが、

「隙がありすぎるね」

月の呼吸 陸の型・水無月恋慕

一瞬で鬼に近付き横に一閃。首と胴を切り離した。鬼は消滅し、Aは刀を鞘に戻す。

「もう1匹に会えればいいのだけれど」

何事も無かったかのように歩きだした。

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