参拾話 ページ31
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「ふおおおおおおおおお?!?!?!!?!」
叫ぶ。
待ってなんか私今空飛んでる!!やめて下ろしてつかここどこ!?!!?
ぐるんっと向きを変えるとどんよりした雲がすぐそばにあった。
……どこだよ。
下には何もない。
と、ぶれる。
ああ、これあれだと思った。
回想シーンだ。昔のことを思い出すんだ。一つ一つのシーンが終われば映像がぶれるやつだ。まさか体験する日が来るなんて。
お、さっそく始まった。
『みらい』
「……みらい」
なんか、消える前にも聞こえた名前に聞こえる。それが私の名前なのかな。
『みらいおはよう』
『おはようおっちゃん』
おっちゃん。
前の人けっこう若そうだけど?てか昔の私には似ても似つかないけど?
『あれ、未来は?』
……あれ、なんだろう。
彼が言った言葉に大きな靄がかかった。漫画で言うならその言葉を塗り潰したような感じ。
多分彼が言った言葉がキーだろう。
『未来?未来は何時ものところ!』
『そうか、お、呼ばれてるぞ』
『うん!じゃあねおっちゃん!!』
……おっちゃんどんまい。
みらいはテテテとどこかへ走る。おっちゃんは途端に険しい顔をして早足でどこかへ行く。
私は追いかける。
ゴーと言ったら体が勝手に動いたんだよ。
『未来、おはよう』
『…………』
「えっぐ……」
どうせ私の声なんて聞こえないだろうと普通に声を出す。
『ほら、起きれ。飯の時間だ』
愉しそうなおっちゃんの声。
目の前には昔の私がいた。たくさんの鎖に繋がれている痛々しい私だ。
目は虚ろ、体は傷だらけ。意識は彼女の物。
「なんでかなぁ…………」
手が震えた。
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作者名:拳銃 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年7月12日 23時