拾漆話 ページ19
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「眠い?」
コクリコクリと首を上下しているとお兄さんが抱えてくれた。
ぎゅうっと体を丸めるとよしよしと言って帰る準備をしてくれた。
その時、ふと聞こえた声。
「ーーーー太宰さんっ!!」
何年も経っているけど確かに知っている声だった。
その子が、呼んでる名前の主も。
「早く来い!!」
怒鳴る怖い声も。
ーーーーーー知ってる。
「…どうかした?」
「、してない」
心のどこかで会いたかった気持ちはあるけど今は会いたくない気持ちの方が勝っている。
「アイスたべる?」
「チョコ……」
「はいよー」
お兄さんは人の気持ちを汲み取るのが上手みたいで私をあの人たちから遠ざけてくれた。
アイスうまうま。
「お前さんはいろんなもの抱えてるねぇ」
「おにーさんに言われたくないです」
チョコミントのアイスを食べながらお兄さんは言った。この人結構食えない人なんだよね。
「まぁーね、俺もお前さんくらいの歳は自分じゃ余るほどのものを抱えてたからね」
「アイス食べたら寒くなりました。ジュース飲みたいです。ひゃくぱーせんとのオレンジジュースがいいです」
「人の話聞いてる?アイス美味しかった?」
「アイス美味しかったです。おにーさんのも一口ください」
「人の話を聞かない子にはやりません」
「………うまうま」
「おい」
半ば強引にお兄さんのを奪って食べた。
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作者名:拳銃 | 作者ホームページ:
作成日時:2016年7月12日 23時