77話 絶望的危機 ページ31
息を潜めて奴さんの話を聞くとプロヒーロー達はやられたらしい。
トップ中のトップ、プロ中のプロが集まった精鋭集団だった筈だ、其れが簡単にも倒されてしまったのだ。
No.4ヒーロー、ベストジーニストの機転により彼以外のヒーローは気絶はしたようだが大した怪我はない様子だ。
奴さんの声だけでも自分が死ぬ
神月の例のファイルの中には奴さん、オール・フォー・ワンについての都市伝説や其の他諸々が纏められていた。
一滴、また一滴と俺の冷や汗が顔を伝いコンクリートに染みを作る。
その瞬間、此の状況を一転させる出来事が起こった。
唐突に水音が聞こえ、爆豪と神月の声が聞こえたのだ。
「ゲッホ！くっせぇえ！」
「何だよ此れ。」
何処か呑気そうな神月の声に少しばかりの安心と違和感を覚えた。
彼奴は何時も強い奴と戦いたいと口癖のように嫌味ったらしく俺の目の前で云うのだ。
其れが今、彼奴の声に覇気が感じられない。
爆豪と彼奴に悪いねと云い、死柄木弔にやり直せると云う奴さん。
迚も腹立たしい。うちのゴリラはどうしようもなくゴリラだがそんなゴリラに俺たちは着いて行くと、生涯を捧げると決めた。ゴリラ、近藤さんは善い人が過ぎるが奴さんの性根は腐ってやがる。腐敗している。
俺は轟と切島を壁に押し付ける力が無意識にも強くなっていた事に気がついた。
そして又緑谷が動き出そうとしているのにも気付いた。
「動くな…！状況を考えて動きやがれ…！！仲間の命を危険に晒すつもりですかィ……！？」
切島から手を離し、緑谷を掴んで俺は小声で云った。
俺が緑谷を掴むのと同時に、緑谷の腕は飯田が掴み、切島の腕を八百万が掴んでいた。
「やはり…来てるな…。」
悪寒が身体中を駆け巡った。
恐らく俺たちは気付かれていない、なら来ていると云うのは誰だ？
突如辺りが地震のように揺れた。
原因となる人物は地面を揺らしただけでなく風をも巻き起こした。
「全てを返してもらうぞ！オール・フォー・ワン！」
「また僕を殺すか…オールマイト。」
音的に八木、オールマイトの拳を奴さんは受け止めたようだった。
俺の体の震えと冷や汗が止まり、俺は冷静に頭を回し、有る事を考える。
彼奴、まさか＿＿＿＿＿＿
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作者名：終夜 | 作成日時：2019年1月22日 2時
