78話 俺が彼奴を殴りたいと思った日 ページ32
キャラ崩壊御免です。
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姉上の葬儀を終えて数日経った。
俺は柄にも無く虚無感と喪失感を紛らわす為、仕事にのめり込んだ。そんな俺を見て構いまくってくるザキが土方さんも同じ状態だと云っていた。
『総悟、午後からはもう休め…。本当はここ数日非番にしてやりたかったんだが、そうはいかなくてな……。ごめんな、総悟。』
近藤さんが悲痛そうな顔で俺にそう云った。
まぁ、其れが数時間前の話で俺は屯所から放り出されたって訳だ。
今は何時もの公園のベンチに座り、何時間も空を眺めている。子供からは好奇心の目で見られたり、其の親や大人からは怪奇な目で見られた。
だが此れも如何でもいい。結局俺は姉上と近藤さんの為に真選組で働いていたと、俺が笑って泣いて悪戯できるのは姉上がいるからこそ出来たことだった。
そして仕事にのめり込んだが最後、俺の運の尽きだった。ミスの連続で気付いてしまった。俺は働く理由を、
こんな事ならもっと里帰りして姉孝行していればよかったなんて遅すぎる後悔をしている。
俺は空を見上げていた。皮肉な事に今日の空は雲一つ無い快晴だった。まるで俺の気持ちと反比例しているみたいだと思った。
唐突に背後から俺を呼ぶ声が聞こえた。
「よっ、沖田。」
紫の番傘を差してチューペットを咥えたクソ女が俺の方に右手を挙げて近寄って来た。
「お前こんなとこでサボってんのか？」
「……違ェよ、非番でさァ。」
よっこいせと俺の隣に遠慮無しに座ってくる此奴は何時もより数段腹立たしく思えた。
「へー、あ、チューペット食う？」
別に興味が無い、と云う返事をしてから人に物をあげない、つか食べ物関連は奪い取ってくる彼奴が俺にチューペットを差し出した。
天変地異の前触れかと思いつつチューペットを受け取って口に咥える。
暫くお互い日が傾き始めた赤と青が混ざった空を無言で眺めていた。
あの時の彼奴はあの頭脳で俺にかける言葉を必死で探していたのかもしれないし、何も考えてなかったのかもしれない。
今日俺が彼奴に思ったことは二つできた。
一つ、殴りたいなと思った事。
二つ＿＿＿＿＿＿
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作者名：終夜 | 作成日時：2019年1月22日 2時
