【ヒプマイ】やってしまった【男主】 (ページ44)

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一二三の心情ページ44

「恋人という言葉でお互い縛っているだけだろ」

やめてよ独歩

俺たちは…ちゃんとお互い好きで…

「本当にそれで幸せなのか？」

ドクン

俺の心臓が大きく動いた

俺は…高校の時からAが好きで…

ずっと隣にいた

Aの気持ちを押し殺してでも、そばにいたかった

でも、独歩もAのことが好きで

独歩に取られてしまうのではないか

Aの隣にいられなくなるのではないか

内心ものすごく焦った

だけど独歩は卒業してもAに気持ちを伝えなかった

と言ってもAとは卒業してから全くと言っていいほど会わなかった

連絡先も無くなってたし、家も知らなかった

偶然出会う、ということも一切ない

時が流れて約11年

やっと見つけた

ずっと探していた

大好きな大好きな人の顔

スーツを脱いで片手に持ち、ただ走った

愛しいその後ろ姿を

「Aっ！！」

『！？…え、もしかして…伊弉冉？』

3年間、ずっと一緒にいた。

3年間、ずっと隣で笑った。

3年間、ずっと好きだった。

懐かしく、暖かい眩しすぎるあなたの笑顔

卒業してから約11年間、1度も忘れなかった顔だ

「うん…うんっ…久しぶりっA！」

それから居酒屋に飲みに行って

酔ったAを誘惑して

自分を抱かせた

考えてみると、酷い自己満足だ

自分だけ得してる

自分だけ幸せ

ドクン

と、またひとつ心臓が大きく動いた

幸せなのは俺だけで

Aは何ひとつ幸せじゃない

俺の我儘に付き合わされただけ

一生懸命に言葉に起こそうとする

だが、そうすると涙が溢れそうになる

何故なら全て事実なのだから

いくらAが態度や行動で俺のことが好きだと伝えても本心なのかどうか

自分で蒔いた種なのに…自分を追い詰めてるだけ

独歩の言う通りだ

"恋人という言葉でお互い縛っているだけだろ"

そうだよ、汚いやり方でAを縛った

最低だな、俺は…

自分に笑えてくる

A、俺は…俺だけは幸せだった

こんな短い時間だったけど、俺の我儘に付き合ってくれて…

俺の事好きって言ってくれてすっげぇ嬉しかったよ

本当は俺の事好きじゃなかったとしても、その言葉だけで俺は…

Aのこと好きでよかったって思えるから

だから、今からお前が言うこと、どんなことでも俺は受け止める

もう俺はお前を縛らない

お前の言葉を…聞かせてくれ