僕の隣に君がいるから (ページ14)

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北信介ページ14

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※エセ関西弁なので暖かい目で閲覧して下さい

｢ええなぁ、標準語。｣

『そう？』

｢おん、俺はこっち出て結構経つけどこの喋り方はなかなか抜けへんねん。やけんAがこっちの生活に慣れて標準語使うとるの見ると微笑ましいな思うんやけどやっぱりちょっと寂しいなぁ｣

『んでも私もたまに出る時あるで。ほら、今みたいに。気ぃ抜くとでてくんねん』

電話に出る私を見て彼は微笑んだ
あははなんてソファーにもたれかかりながら
でも笑ったと思えばすぐにスンといつもの表情に戻る
表情乏しいのに案外忙しい人だ

数年前から地元を離れ同居を始めて自然と入籍をした我々
プロポーズなんてものは彼の中でも私の中でも改まってするものという理想の固定概念が皆無でベタに指輪を差し出し膝をついて…とかではなく、夕飯を食べてる時唐突に言われた｢ほな、そろそろ結婚しよか｣。それだけである
そんな簡潔な言葉でも思わずキュンとしてしまった私は重症でなわけで
事実今、左手に輝いている指輪だって入籍後に選んだものだが二人で選んだということもありだいぶお気に入りだ

だから私たちにはこれくらいの世間から少し抜けた感じが丁度いい

｢でもだからといってずっと気ぃ張ってたらアカンで。｣

『真面目やなぁ信介は』

｢そりゃ体調関わるとなれば大真面目やわ｣

『そんな心配せんでも大丈夫やで。元々体は丈夫やし信介の前では気ぃゆるっゆるですから』

そう言って大きく伸びをする

｢俺の前だと気ぃゆるゆるなん？なんで？｣

『えぇ、なんというか安心感？信介とおると実家にいるみたいな気分になんねん』

｢ほぉう｣

『なんかほっとする言うか、もはや癒し。』

｢癒し。そう来たか｣

そりゃ普段外ではキビキビしている信介がのほほんと我が家のソファーに座ってお茶をすすっているんですもの
なるほどなんて顎に手を当てる姿も、昔と全く変わらない面影しかないその姿もこんなに近くで見れるんですもの。

癒されますって

｢それを言うたら俺もAに癒されてるわ。今みたいにうちだと関西弁で話してくれるとことかちょっと可愛ええなと思うで｣

『三十路の女に癒しも可愛さもあるわけないやろ』

｢残念ながら俺もお前とおんなじ三十路や。｣

『信介は三十路だろうと関係ない』

｢なんやそれ｣

久々に可愛いなんて言われたから少し照れた日曜日の午後
お世辞でもいい、それが嬉しかった。
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