実.況してみた【実.況者】 (ページ4)

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実況4 ページ4

「いやー、Aさんとこうやって昼来るの初めてですよね。」

注文したドリアをガッツリ食べながら笑う彼。
その顔はどこか嬉しそうで1つ下には見えなかった。
一方私はサラダを頼んだ。昼時からこんなにガッツリ食べたら吐くに違いないとわかっているので軽めのものを頼んだのだ。

「うん、そうだね。杉島くんなんで私なんかと？」

「んー…一言で言ってしまえば、1番関わりやすかったからですかね。

1人で食べるのも嫌だけど、すっごい年上の人と食べるのも嫌じゃないっすか？」

俺、年上の女性苦手っす。と一言加えまた話しだした。
生憎私は、後輩と食べるのも構わないが従業員さんとも仲良くなりたいと言う気持ちはある。

「んーまぁね。私は先輩従業員さんとも仲良くなりたいけど。」

サラダのトマトをフォークで刺し、口へ運ぶ。
うん、美味しい。

「えーそんなつれないこと言わないでくださいよ。俺、食べる人いなくなっちゃうじゃないですか。」

ムスッとした顔になる杉島くんに愛想笑いで返す。

「ジョーダンよ、ジョーダン。

それに、杉島くん他の仕事と掛け持ちなんでしょ？お昼なんて滅多にいないじゃん。」

「あーまぁ、そっすけど…。

あ。てか、話し変わるんですけどいいですか？」

「うん、構わないけど。」

ドリアをあと三口ほど残し、こちらへ改めて向き直った杉島くん。
真剣な話かと思い、背筋を伸ばすと、ニコッと彼は笑い手を顔の前で振った。

「そんな固くならないでいいですよ。

Aさんってゲームとか好きですか？」

え、なんで。知ってんの。

「んー…なんで？」

サラダを食べながら水を飲む。まさか、と自分のことかとヒヤリとする。

別に趣味で初めて、人気になりたいとか思っていなかったのに色んな方々が見てくださって今では動画を投稿するのを待っていてくださる人も居る。

おこがましいが私は充実したネット生活も送れているのだ。

「いやぁー、俺ゲームとか好きでいろんなゲームやるんですよ。
それに、色んなゲームの実況とか見るんですよねー。」

あははーと笑う目の前の彼にヒヤヒヤしたが、ここは自分の考え過ぎだと気持ちを落ち着かせる。

塾の講師(ほぼバイト)をやっている上にカフェの従業員で実況者なんてことがバレたら世間様、特に親からなんと言われるか。

「そうなんだ…。」

必死に気持ちを落ち着かせるため、目線を下にしているとドンッと言う音ともに彼が身を乗り出していた。

「＿＿ですよね？」