実況5 ページ5
「柳、ですよね?」
机に手をつき、乗り出している彼の顔を見上げると心底嬉しそうな顔だった。
昔から、変なことには首を突っ込むくせに自分にその変な事や嫌なことが回ってくると知らん顔する自分がいる。心の中で抑えているつもりでも、口には出ないが顔にでるらしい。
「…は?」
ポーカーフェイスのつもりでも彼には通じなかった模様。
「Aさん、ポーカーフェイス下手くそ。全部顔にでてますよ。
ってか、その顔は当たりってことすか?」
「…はぁ、やっちゃったなぁ。当たりだよ当たり。」
残念ながら、と思い呟き手を額に当て下を向く。目元を片手で覆い、残りかけのトマトを食べようとフォークを持ち直した。
行儀の悪い格好から戻り、ちゃんと椅子に座った杉島くんはニコニコというよりはニヤニヤしている。
「いやぁ、俺も運がいいっすわ。Aさんって静かだし声もそれっぽいからずっと前から思ってたんですよ。
あ、それと。
スプラトゥーン、面白かったですよ。」
なんだ、こいつは私の信者か。嫌、でも動画見てくれてるから神様だ。
と、思うと全てこの人に聞かれているのか。
ふと、そう思うとこいつを消してやりたくなった。杉島くんは普通にいい子だと思ってた。
私の弱みを握ろうとしているのかこんちきしょう。
「…見たの。昨日の夜中に投稿したやつじゃん。」
「ええ、勿論!だって俺、柳の実況プレイ凄く好きですし。
通知きた瞬間見ましたよ、はは。」
「そ、うなんだ。ニコニコやってたんだ、意外だな。」
見てくれているということはもう、忘れようと思い似ているようで違う話に話題をやった。
杉島くんは1年ほど前からバイトを共にしているが、"ヤンキー"という感じでそんなにネットを知っていそうなイメージはなかった。
むしろ、こんなカフェでバイトするほうが不思議だ。
何せ黒髪に所々紫色のメッシュを入れる奴だからね、ヤンキーだ((
「えー?そうですか?
まあ、知っているかわかんないですけど、俺の名前当ててみてくださいよ。」
「…名前?杉島くんの下の名前私覚えてないや。」
去年の自己紹介なんざ覚えていない。関わることも少ないだろうし興味もわかないだろうと覚えなかった。
うーん、と考える素振りを見せ顎に手をついた。
「いやいや!俺の本名じゃなくて、
実況名っすよ!な、ま、え!」
「え…、わかんない。人の見ないし。」
必死に考えようとしても思いつかないものだった。
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霜田 - 誰も言ってないようだから言いますけど名前表記おかしいです。1度確認してから投稿とかできればそうして頂けると嬉しいです。 (2017年8月14日 17時) (レス) id: 34b277b443 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆずぽんぬ | 作成日時:2017年4月2日 23時