フィルター越しの世界*。【あんスタ】 (ページ9)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:10,179 hit

Aquamarine*。ページ9

…

午前2時。

スマホで母親に川まで迎えに来て。と言えばすぐに既読がついてOKというスタンプが送られてきた。

目が覚めた時には、浅瀬に浮かんでいて

荷物を確認すると、大事に置いておいたイヤリングが片方だけ消えていた。

暗闇の中月の光を頼りに探してみてもどこにも見つからない。

…大切なものなのに。

ずぶ濡れの私を見て母親はあきれたように笑った。

自室のベッドでカバンを確認すると小さな封筒が入っていることに気づく。

見なくても分かる。彼だ。

そっと封を開けて中を見ると、片方は彼が持っているとのことだった。

君が不安になった時に、僕がいることを忘れないでほしい。

手紙にはそう書いてあった。

…よかった。

あなたに聞きたいこといっぱいあったんだけどな。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

『なるこちゃん昨日はほんとにごめんね。』

教室で先に来ていたなるこちゃんに頭を下げる。

みかりんは不思議そうに首を傾げた。

「こっちこそごめんなさいねぇ。昨日はみんな気がたってたのよ。

泉ちゃんもちゃんと気づいてるから大丈夫よ。」

『でも、私がいって揉めちゃうんならってあんずちゃんと話してね。しばらくプロデュースは控えることにしたの。

あ、頼まれればもちろんやるんだけどね。

それに、舞台のこともあるし。』

まだ生徒が集まっていない教室に私の声は少しだけ響いた。

昨日の夜浮いている時にたまたま自分の事が書かれたツイートを見つけてしまった。

…傷ついたなんて偉そうには言えないけど。

「あんま、気負いしてたらあかんで！あめちゃんあーげる！

あ、Aちゃんなんか今日違うなーっておもてたんやけどやっぱり今日髪巻いてへんなぁ。」

綺麗なオッドアイの瞳に見つめられて

目の前の机に可愛らしい飴が二つおかれた。

「あらほんとねぇ。じゃあ、アタシが巻いてあげるわね！」

カバンの中からヘアアイロンを取り出したなるこちゃんは本当に女子だと思う。

鏡を見れば綺麗に巻かれた自分の髪と疲れきったメイクが取れかけた自分の顔。

『なるこちゃーん。メイクも直してぇ……。』