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「……そろそろ明るくなってきたな」


Aは薄く紫がかった空にため息を漏らした

どうしてこいつが家に帰ろうとしないのか、毎日この橋で夜を過ごしてどうやって学校に行くのかなんて知らない


寂しそうな目で暫く雲の動きを目で追うと欄干から降りて重たそうな皮のスクールバッグを背負った


ストラップのひとつもついてない、形の保った値のよさそうな黒……



「今日もまた夜に来るから」

「来んな仕事増やしてんじゃねぇぞクソガキ」



Aは寂しそうに俺を見て笑った




……ふと、こいつがどこに帰っていくのか気になった


いつも、Aはいつも軽く手を振りながら署とは反対方向に歩き出す


俺はただその様子を眺めてまた新しい煙草に火をつける、毎日その繰り返しだ

以前、まだ俺がA相手にちゃんと表の顔を向けてた時に送っていくなんて言えば上手いこと話題を変えられ水に流されたことがある




署に帰って調べて見ても何ひとつ出てこないし名前すらも出てこなかった

中王区にも情報のひとつもなかった



……どうしてこんなにこいつに執着してここまで調べてしまったのかわからない

そのうえ考えれば考えるほど腹が立つ



「……身元調べるとかやめてね」

「……まさか、調べませんよ」




Aは首をグリグリ回すと女子高生とはかけ離れたゴリゴリと鈍い音が俺にまで響いてきた


図星だった俺の表情筋も同じぐらい固まってそうだ


伸び終わると欠伸をひとつ落として、うっすらと張る青黒いクマを擦るとローファーを引きずってお決まりの方向に歩いていった



「じゃあまた今晩、この橋で」

「……たく」



軽く手を降ったAに無意識に振り返した自分に驚いた


人に素で手を振ったのなんて最後を忘れたぐらい昔のこと


しかしそんなこと、Aは気にしてるはずもなくたちまち曲がり角に差し掛かってその姿は見えなくなった


「……はぁ」




頭痛がした



心なしか体もだるい、動く度に痛むあたりを考えてこれは間違いなく寝不足に違いない


ため息ですららしくなく感じて、そう考えると調子が酷く狂わされてるのがわかった


Aのためにわざわざこの1ヶ月パトロール時間を潰して、睡眠時間も潰して……俺は一体何をしてんだか





新しいタバコ片手に、こんなガキ相手に反吐が出そうな考えから離れたくて

署まで帰ろうとAとは正反対の方向に歩き出した

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- 続き楽しみです! (2020年4月24日 8時) (レス) id: 28ee4bfc20 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ままま | 作者ホームページ:󾮗  
作成日時:2018年11月26日 7時

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