【ヒプマイ】営業先の人【観音坂独歩】

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嫌だったら言えってそういうことか


別に、独歩はいい人だと思うし何より信頼してるから正直なんでもいい


そんなことより疲れた



｢むしろ安心ぐらい……｣


｢……｣



独歩の手の力が若干緩んだ、それなりに緊張してたんだろう




街灯が影を作って、早足気味のヒールと革靴の音が鼓膜を心地よく弾いた


この音が好きで、無言でも心地よいぐらいの雰囲気にぴったりに感じた


背の高いマンションに入るとロビーのロックを解いて中に入ると方の力が抜けた



自然とやっぱり力が入ってたらしい



エレベーターホールでも無言で、ただ手だけは繋いでエレベーターを待った



｢……いいな、ロビーからロックかかってんの｣



対照的に私の家はガバガバのボロアパートだった


もちろん、家賃なんて払えるはずもないし今の家で別に満足



けどこの事態じゃ不安しかない



潔癖ってわけじゃないけどもう住みたくないし住所バレてるから怖い




｢もう……落ち着いたのか？｣


｢1人じゃなくなったから｣




エレベーターが降りてきて独歩は10と書いたボタンを押した


最上階だ


エレベーターの窓から流れる各フロアのエレベーターホールを眺めて壁に体を預けた








｢……お邪魔します｣


独歩の部屋は玄関から独歩のにおいがした


一人暮らしにはちょっと大きめの部屋




｢靴、そのままでいい｣



独歩は先に部屋に入って行って部屋の電気を一通りつけていった


そのままでいいって言われても流石に治すわ


玄関には今履いてた革靴と軽めのサンダルしか出てなくて以外に綺麗



｢あ……｣




部屋のことを考えると自然とビデオのことを思い出した


……そうだ、いまは独歩といるから私は心配ないけど、今も奴は私の部屋にいるかもしれないんだ


私の部屋で何してるかわからない


何な触れられてるかわからない


どうしよう、どうし



｢A｣

｢わ……｣



靴を治すのにしゃがみこんでそのまま考え事に洗脳されかけてたのが遮られた



｢……大丈夫かよ｣




ネクタイを解きながら玄関まで戻ってきてくれて軽く私の頭を撫でると見上げた私の顔を見た


もう頭に手置かれんのも慣れたし向こうも慣れててるだろうな



｢……よかった｣


……笑った



無言で気持ちが伝わってくれたのも嬉しいが独歩が珍しく頬を緩ませた


若干だけど




｢心配かけた｣


膝に手をついて立ち上がって私も部屋の奥へと入った



誰かの家に来ることなんてもう何年ぶりか

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