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「……営業です」
眺めてしばらくしないうちに病院の扉が開いて入ってきたのは珍しく若い人
ここの医療設備の制作会社の営業の人だ
いっつもクマがすごくて、疲れきった顔が印象的
「どうも……ちゃんと寝てます?」
「……すみません」
観音坂独歩さん……
私が働き始めた時にはもう既に営業で来ていたからそこそこ長いんじゃないかな
「Aちゃ〜ん、お薬お願い」
「あら、またどこが悪いんですか〜?」
観音坂さんのことなんて見えてないようなジジイはなりふり構わず補充しないといけない設備の書類をまとめてる私に窓口から叫んだ
「いや、膝をやられちゃって」
大手の湿布でええやろそんなん
ニコニコ……というよりニヤニヤしてるジジイのために湿布を2、3セット取って書類と一緒に持っていった
「はい、湿布です、お金は1600円です……あ」
レジに気を取られて見てなかったけど既にもう1600円置いてあった
覚えてんじゃねぇかよ、
そんなに毎回貰いに来てんだったら大学病院行ったほうがいいってば
「もう覚えてしもたわ」
「ごめんなさい、はいど〜ぞ」
湿布を差し出した手をしっかり触られて少し汗ばんでるのか湿った感触が手を通してしっかり鳥肌となって染み込んだ
「お大事になさってくださいね〜」
それでも笑顔はやめられるはずがなくて出口に向かうジジイを見送った
ジジイが出ていくと急いで窓口から死角のところに常備してあるウエットティッシュで手を念入りに拭いた
「ごめんなさいね、お待たせしてしまって」
「いえ……」
観音坂さんを待たせてるのに急いで書類をまとめてファイルに詰めた
「今週の分です、多分これで揃ってるはずです」
中身をパラパラと最終確認してこれもまた常備してる梅味の飴玉をひとつ付けて渡した
いつも営業お疲れ様です、っていうほんの少しの気持ち
「あの……いつも嫌じゃないんですか」
飴玉をポケットに、ファイルを鞄に直してる最中の観音坂さんは珍しく喋った
「え?」
いきなりの事だったし、久しぶりに「営業です」と「ありがとうございます」と「すみません」以外に聞いたからびっくりした
「いや……さっきのとか、……あ、いやなんでもないです、すみません」
もしかして、同情でもしてくれるてる?
仕事が多すぎてぼーっとでもしてたんだろうか
暗めにあたふたする観音坂さんは質問を取り消すようにきっちり頭を下げた
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失格人間。(プロフ) - おおわああああああぁぁぁ最高ですです!!更新頑張って下さい!!!!!! (2019年4月4日 12時) (レス) id: bb922c1436 (このIDを非表示/違反報告)
ままま(プロフ) - むぎさん» コメントありがとうございます、わああ嬉しいです!!ない脳みそを絞りに絞ってネタ考えます、、今後も何卒あよろしくお願いします (2018年12月3日 12時) (レス) id: 16f3e8df7f (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - あの…続編……早く読みたいです…めちゃくちゃ面白かったです!!!まじ独歩最高です! (2018年12月2日 23時) (レス) id: 3e1d248cd9 (このIDを非表示/違反報告)
ミレナ(プロフ) - まままさん» いえそんな!!楽しませてもらってます!!頑張って下さい!! (2018年8月27日 19時) (レス) id: 8824a387c8 (このIDを非表示/違反報告)
ままま(プロフ) - ミレナさん» コメントありがとうございます、私の語彙力が酷いもので申し訳ないです、楽しんでいただけたなら幸いです、今後も何卒よろしくお願いします (2018年8月27日 19時) (レス) id: 16f3e8df7f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ままま | 作者ホームページ:󾮗
作成日時:2018年6月30日 12時