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「俺ん家近くやから着いてきてくれる?」
「え、…」
「あ、ちゃうで!車!取りに行くだけやから!」
ワタワタし始める大橋さんと、隣で笑う私。
別に深い意味がないのは分かっていたけど、表情豊かな大橋さんを見てるとちょっと慌てた顔も見たくなって、わざと困ったような表情をしてみた。
「…今の絶対わざとやろ?」
「まさか、ホントにびっくりしました」
この人意外と鋭いかも。
結局大橋さんがご飯代を払ってくれて、更には家まで送ってくれると言うから、ホントに申し訳なくて断ったけど、危ないからって聞いてくれなかった。
大橋さんの家はこの近くらしくて、車取りに行くから着いてきてって、大橋さんの家に向かってるところだった。
「そう言えば、末澤と同い年なんやろ?」
「え?あ、はい」
「俺より年下やと思ってたから丈くんに聞いてびっくりしてん」
「大橋さんはいくつなんですか?」
「俺25」
「え、…わっか」
25歳って私が大阪に来た年だ。
若いっていいな、羨ましい。
「やから、敬語使わへんくてもいいんやで」
「え、…あ、うん、ありがとう」
お客様として1回来てくれたからなのか、沢山お世話になってるからなのか、感覚が抜けずにずっと敬語で話してた…
「それより、Aちゃんって関西弁使わへんの?」
「私、東京出身だから」
「え!そうなん!?」
「大阪に来たのは3年前くらい」
「そうやったんや、…あっ、ちょっとここで待っとってな、すぐ来るから」
そう言って大橋さんは走ってどこかに行ってしまった。
“ ちょっとここで ” は、多分傍にある小さな公園のことを指してると思って、公園にあったベンチに座って大橋さんを待った。
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作者名:まぷ | 作成日時:2023年1月10日 18時