押してダメなら押してみろ。〈黄〉 (ページ7)

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story 07 ページ7

junta side

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『あ、あともう1つ質問！』

「はいはい、何でしょうか」

『さっきの、彼女居たことないって本当ですか』

あ、忘れてた。

そう言えばさっきしげにサラッとバラされたんや。

あいつのお陰で男のプライドがズタズタ。

「まあ、一応本当です」

『え、じゃあ今好きな人居ますか？』

「居るって言うたら？」

『とりあえず泣きます』

シュン、という効果音を付けたくなるほどの

今にも泣きそうな顔。

ほんま、素直にも程がある。

「居らんから泣かんとって」

『よし、じゃあ私が彼女最有力候補ですね』

前言撤回。

素直と言うより、ただのド直球。

「ほら、駅着いたで」

『無視しないでくださいよ』

「質問タイム終了」

ムッと頬を膨らませて不満そうに

こっちを見るAさん。

表情がコロコロ変わって忙しい子やな。

『中間先輩は、最寄りどこですか？』

「ここ」

『…へ？』

「何ならとっくの昔に通り過ぎたで、俺の家」

学校の正門を出て徒歩5分。

俺の家の立地の良さは、学校一やと思う。

『え、じゃあ、何でここに居るんですか』

いや何でって、

「せめて駅までは送るのが礼儀やろ」

『…好きです！もうかっこよすぎ！好き！！』

「声でかいて、人居るから！」

『中間先輩と付き合ったら絶対幸せになれますね』

「わかったから、早く帰って」

ほんまに直球やな、この子は。

『帰ったらLIMEしてもいいですか？』

「お好きにどうぞ」

『じゃあさよなら、中間先輩』

「はい、さよなら」

やっと俺に背を向けて帰って行ったAさん。

出会った当初から何となく分かってはいたけど

あほで直球で掴み所がない。

「疲れた…」

同じ道を引き返す間も

ずっと頭の中にAさんの顔が残ってた。

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俺が家に帰ってから少しした後

予告通り、AさんからのLIME。

『送ってくれてありがとうございました』

意外とこういう所は律儀やねんな。

「いえいえ」

『明日も会いに行っていいですか？』

「嫌って言うても来るんやろ？」

『もちろんです』

出た、いつもの直球。

この態度で来られると何か調子狂うねんな。

「じゃあ一々聞くな」

『ツンツンしてる先輩も好きですよ』

既読無視。

これはどっかで区切りつけな

延々と会話が続くパターンのやつや。

どうせ明日も来るんやし、

今日はもうええやろ。

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