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屋根に鎮座して、全集中・常中を会得しようとしている竈門少年がふと、視界に映った。
そろそろ蝶屋敷をお暇して、屋敷に戻ろうとしていた時だったから、どうせなら挨拶して帰ろうと、そう思ったのだ。
『竈門少年。』
「うわ!Aさん!いつから其処に!!」
『全集中・常中はどう。』
「それが中々難しくて…。でも、精進します!」
『辛いと思うから辛いの。想像して。あなたはいま、普通に呼吸をしている。』
そう告げながら、竈門少年の額に人差し指を当てる。
『集中するの。普段の呼吸より、質の高さを。全身に十分すぎるほど酸素が行き渡ってる事が、貴方にとっては通常。』
そう助言をしただけで、先刻より三分程出来る時間が伸びた。きっと、物覚えのいい子なんだろう。
「Aさん。泣いて、ますか。」
『…それは、どういう意味?』
「あ、いや!すみません!口をついて出てしまって!」
『…私はもう、辛くも苦しくも哀しくも虚しくもない。代わりに嬉しくも恋しくも愛しくも楽しくもない。只目的を遂行するためだけに生きてるの。言わば絡繰り…否、操り人形よ。』
「それは、哀しくないんですか。感情豊かだった頃が、寂しくはないんですか。」
『…?ええ。なにも辛くない。』
あの頃の方が辛かった。あの頃の方が虚しかった。あの夢を見てから。
「Aさん、柱に一般隊士がいえたことじゃないけれど、もっと自分を好いてあげてください。」
『…。気にかけておくわ。』
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うみねこ - 今気づきました!!汗ご指摘ありがとうございます。 (2020年4月20日 17時) (レス) id: 00b8e99048 (このIDを非表示/違反報告)
雪猫(プロフ) - 突然すみません!こちら、鬼滅の刃の作品なので、オリジナルフラグを外さないと違反作品となってしまいますので、外した方がいいですよ!これからも更新頑張ってください! (2020年4月16日 11時) (レス) id: 66ded389aa (このIDを非表示/違反報告)
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