No.45：些細な優しさ ページ6
言葉に詰まった僕を気遣って声を掛けてくれたクラピカのお陰で頼み事はできた。
あとはこれを了承してくれるか、だけど。
「怪我でもしたのか？私で良ければ巻くぞ」
「……ほんと？クラピカ、ありがと」
彼は渋ることなく承知してくれた。
僕が思う以上に人間って優しい面もあるみたい。家にずっと閉じ籠っていたら知れなかった。
「ところでAは、どの辺りを怪我したんだ？」
もう既に人影がない廊下を二人で並んで歩きながら、手当て出来そうな場所を探しているとき、クラピカがふと思いついたかのように聞く。
「えっ、どこって……全身、かな」
此処で嘘をついて誤魔化すわけにもいかないから、僕も正直に答えた。
「そんな怪我いつ……」
それを聞いた瞬間クラピカが立ち止まって固まったから、僕は乾いた笑いを漏らすしかなかった。
＊
丁度良い場所を見つけて、道具を広げた。手当てするのにパーカーを来たままでは無理だから、脱ぐようにとクラピカが言う。
でも僕も流石に男の人(いくら中性的な顔をしたクラピカ相手でも)に体を見せるのは恥ずかしい。
服を脱ぐ前にフードを取って、そう告げると、クラピカは近くにあるもので工夫して、外から中が見えないようにしてくれた。
後ろを向いていてくれればいいと言ってくれた。
あまりに行動が紳士的過ぎて、少し惚けてしまったぐらい。
「っ、これは……酷いな」
でもやっぱりこの傷にはクラピカも驚いたみたいで、少し動揺していた。
実際は家を出る前、執事たちが手当てを施してくれたから、痛みはほとんどないんだけどね。
そう伝えると彼は普段は下着に隠れる部分だけの処置をして、立ち上がった。
「その傷から菌でも入ったらいけない。レオリオに診てもらうが大丈夫か？」
「レオリオ？」
「アイツは医者志望なんだ。私が診るより何倍もいいだろう。
Aも色々あるだろうし、そこは私が手当てしたが……」
立ち上がったのはレオリオを呼びにいくためだったらしい。自分の意見だけを押し付けずに、ちゃんと僕の事を考えてくれてるのが伝わってくる。
僕が女だって事を知ったから、あぁやって処置してくれたんだ。レオリオには悪いけど、彼に見せるのは抵抗があったから助かる。
「クラピカ、ありがと。
迷惑かけてごめんね」
「迷惑じゃないさ」
出ていく寸前のクラピカにそう声をかけたら、彼は笑ってくれた。
振り向き様に僕の頭をくしゃっと撫でた手が、どこか懐かしく感じた。
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えるふぃ(プロフ) - 冷凍みかんさん» 一年前のコメントに返信失礼します。面白いって言っていただけて感動です。頑張って書いたのが報われます…。応援ありがとうございます！ (2018年8月30日 15時) (
レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
冷凍みかん(プロフ) - すごく面白くて、読んでて楽しかったです！続き頑張ってください！ (2017年8月19日 18時) (レス) id: 86c7d5dde1 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - シロさん» 返信遅れてました(´・ω・`)H×Hは私の中でもお気に入りの漫画なので書いてて楽しいです(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - フェイ・ルーンさん» 返信遅れてすみません。ワクワクしますか！それは嬉しい褒め言葉です(*´ω｀*)自分でも話を考えてるときはワクワクします！ (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - モッケさん» 返信遅れて申し訳ないです。面白いといっていただけてうれしいです！更新は中々出来なかったですが頑張ります(*´ω｀*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えるふぃ | 作成日時：2016年3月27日 19時
