No.44:言葉の力 ページ5
とりあえず汗を流してスッキリできたものの、肝心の包帯の巻き方が分からない。
このまま服を着たらまだ塞がっていない傷口から菌が入ってしまうだろうし、そうなれば今後の試験に支障が出るかもしれない。
「ゴンがキルアに頼もうかな。
いや、二人はまだゲーム中だよね……」
あの二人のどちらかに巻いてもらうかと思ったが、よく考えれるとこんな傷口見せたらゴンは優しいからきっと心配させてしまう。
だからといって迂闊に口が軽い人に頼んでしまえば、僕がこんな傷を負ってるって他の受験生に知られて狙われやすくなるかもしれない。
受験生のほとんどは警戒するに至らないけど、その中にも違うオーラを放っていた人もいたから、用心するに越したことはない。
と、なれば面識があって尚且つ口が固そうな人に頼む他ない。
そんな人いる気が……。
「あ、クラピカ……とか?
でもあんまり話したことないし……」
精一杯悩んで絞り出した答えは、クラピカに頼むこと。ただ僕はゴンやキルアばっかりと話してたから、正直彼とはあまり関われていない。
そんな僕がこんな頼み事をして、果たして聞き入れてくれるのだろうか。
「……ダメで元々だよね。
ダメでもクラピカなら、口、固そうだし」
そう結論付けて、クラピカを探すことにした。
あまり傷に布が当たらないようにズボンを穿いて、上からまだ着ていないパーカーだけを羽織った。
居場所に検討が付かないから、しらみ潰しに探すことにしよう。
「とりあえず適当に歩き回って……。
あっ……」
「ん?……Aか。
ゴンとキルアは一緒じゃないのか?」
なんて意気込んでたのも束の間。
「二人はね、ゲームしてる。
で、その……クラピカはなんでここに?」
捜索対象が自分から歩いてきた。
あまりにも簡単に見つかり過ぎて拍子抜けしてしまう。
「私か?ちょっと目が覚めてしまってな、少し夜風に当たりたい気分だったんだ」
「そう、なんだ。……あ、あのさ!その……」
包帯の事を頼むなら今がチャンスだ。これを逃したらもっと頼みづらくなる。
そう分かっているのに、あと一歩を踏み出せなかった。
「なんだ?
……時間に追われてるワケじゃない。ゆっくり話していい」
だけど、その後押しを彼はしてくれた。
「う、うん。……あのね、ちょっとお願いがあって。
この包帯……巻いてくれないかな?」
なんとか用件を伝えることができた。
人の言葉ってこんなに安心できるものなんだ……。
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えるふぃ(プロフ) - 冷凍みかんさん» 一年前のコメントに返信失礼します。面白いって言っていただけて感動です。頑張って書いたのが報われます…。応援ありがとうございます! (2018年8月30日 15時) (レス) id: 2df896d132 (このIDを非表示/違反報告)
冷凍みかん(プロフ) - すごく面白くて、読んでて楽しかったです!続き頑張ってください! (2017年8月19日 18時) (レス) id: 86c7d5dde1 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - シロさん» 返信遅れてました(´・ω・`)H×Hは私の中でもお気に入りの漫画なので書いてて楽しいです(*´ω`*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - フェイ・ルーンさん» 返信遅れてすみません。ワクワクしますか!それは嬉しい褒め言葉です(*´ω`*)自分でも話を考えてるときはワクワクします! (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - モッケさん» 返信遅れて申し訳ないです。面白いといっていただけてうれしいです!更新は中々出来なかったですが頑張ります(*´ω`*) (2016年11月12日 0時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えるふぃ | 作成日時:2016年3月27日 19時