べた惚れくん (ページ12)

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「まじで佐藤のせいで授業進まないんだわ、勘弁してくれよ」

「すみません、先生」

「Aが謝ることじゃないよ」

綺麗な顔はずっと私の方を向いていて、かわいいなぁなんて思ってしまう。

先生は諦めたように授業を再開した。

教科書を忘れたわけでもないのに私の机にピッタリとくっつけられた勝利の机。
前から見えにくい机の下で、私の左手は勝利によって遊ばれている。

「A、爪綺麗だね」

「そう？勝利も綺麗だよ」

「俺男っぽくない？シュッとした爪欲しかったんだよね」

「男の子にしてはシュッとしてると思う」

私的にこの授業は聞いとかないとヤバいけど、後で勝利が責任をもって教えてくれるらしく、まあいいかと思ってる。ダメだけど。

「あ、そうだA。今日放課後暇？」

「勝利と帰る以外予定ないけど」

「じゃあ友達の誕生日プレゼント買いに行きたいんだけどいい？」

「うん。いいよ」

「やった、デートだ」

わかりやすく嬉しそうにする勝利に私まで嬉しくなってくる。

「授業中だぞ～」

「僻むなって先生」

「僻んでねぇ！笑
あとお前教科書ぐらい開け！」

教科書を机に出してすらない勝利さん、今日も通常運転中。

Fin.