壱【薬研藤四郎・極】 ページ2
敵の骸を飛び越えて、乱のもとへと走る。夜の闇の中、彼の髪色はよく目立つ。
「あ、薬研…」
「大丈夫か？」
ぐったりと座り込む乱は、右の太ももを深く斬られている。パックリと開いた傷は見ているだけで痛々しい。
常備している包帯と薬で簡易的な手当をした後、俺は乱をおぶった。
「帰城！」
厚の叫び声。よく見ると彼も右腕をかばっている。
早いところ手入れをしなきゃな、と考えて転移装置に向かった。
＊＊＊＊
「ねえ、薬研」
乱の細い声が俺に問う。
「極になって上がったものってわかる？」
「機動、とかのことか？」
「やっぱり気がついてなかったんだね」
ため息が首筋にかかる。その言葉に首をひねり、どういう意味かと問うた。
「答えはね、呪具への耐性。見習いはかんざしに呪具をつけてる。極めたみんなは影響を受けてないけど、ボクらはもうだいぶ侵食されてる。気を抜くと見習いに操られそうになる」
「…は」
「だからボクらはわざと傷を負う。あるじさんの霊力を染み込ませて、抵抗するために」
ガクン、と背中の重みが増す。どうやら気を失ったようだ。乱の言葉を反芻し、考えている間に本丸についていた。
＊＊＊＊
それから、俺は呪具について調べた。
自らの思い通りに操るか、魅了することができるということ。
体の小さなものから侵食されること。
抵抗は一時的なものだということ。
解呪するための方法は存在しない事。
＿＿代償は莫大なものであること。
大広間に集められたのは、それからすぐのことだった。
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匿名狐(プロフ) - 夕月 刹那さん» わ！良かった！そう言っていただけて嬉しいです！ありがとうございます！ (2018年5月30日 15時) (
レス) id: 19251f6155 (このIDを非表示/違反報告)
夕月 刹那(プロフ) - これ、私の好みドストライクです！次の更新が待ちきれない、、、！ (2018年5月29日 19時) (レス) id: 87fbf3b4b6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：匿名狐 | 作成日時：2018年5月23日 22時
