10.渡さない ページ29
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no side
「なあBroooock。」
夜10時、Aが丁度風呂に入る時間は、彼らの中でAの情報を交換するのに最も都合のいい時間帯だった。
ソファに腰掛けながらスマイルは隣でお菓子を食べるBroooockに今日あった話をする。
「今日、たまたまAと生徒会について話していたんだ。」
「そうなのー？なんか言ってた？」
「何か、今日弁当要らなかったのは生徒会長にご馳走されたからだって言ってた。」
「...ふーん。それで、Aは？」
「その後、生徒会も悪くないかもって。」
スマイルの一言を聞くと、Broooockの瞳は大きく開く。
彼女、自分たちだけのモノだと思っていたAが、他の男達に目を向けていることに衝撃を隠せなかったのだ。
その後もしばらく言葉を失ってしまう。
そんな普段とは違うBroooockの様子をスマイルは心配そうに見つめていた。
「僕らから、離れちゃうのかな。」
「それはまだ早計だろ？」
「でも.....でも、もしそうなら早く止めないと。」
「だから」
「だってAがずっとここに居てくれる保証はないじゃん！！」
いつもの穏やかな彼からは考えられない怒号が響く。
本人も、言ったあとで気づいたのか、「ごめん」と言って自室に戻ってしまった。
(マズイな。Aへの気持ちが抑えられなくなっている.........。)
Broooockが去って間もなく、声を聞き付けたシャークんがスマイルの元を訪れた。
「何があったのスマイル？」
「まあ、Aのことで。」
「あー、生徒会との仲が深まってるってやつ？」
「うん。」
「なるほどな。」
シャークんは隣に座って何か考え出す。
思いついたのか、スマイルの顔を見ながらこう言った。
「だったらもうAへの好意を周りに見せつけてけばいいんじゃない？」
「は？流石にそれは」
「そしたら近づこうとするやつも怖気て近づけないだろ。」
「でも、俺ら仮にもアイドルやってんだよ。」
「そんなの“幼馴染で妹みたいな存在”で通せば何とかなるって。」
「.....それは確かにそうかも。」
「A、渡したくないだろ？」
「まあね。」
ちょうど風呂場からAの声が聞こえてくる。
これが、その日の情報交換の終了の合図だった。
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作者名：らあ。 | 作成日時：2023年1月2日 19時
