任侠には興味なし【d!】 (ページ33)

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「どうも〜っ、ヒロキでーっす！お隣失礼しまーす！！」

『ひぃ...』

金髪イケメンが隣に座ってくる。
どうやら初回は10分ごとに違うホストと話さなければならないらしい。

コミュ力があまりない私にとっては地獄の時間の始まりだった。

「お姉さんめちゃくちゃ可愛いっすね、俺、タイプかも！！」

『いや、あの...はい、ありがとうございます。』

「彼氏とか居ないんですか？」

『あ、いないですネ...』

「えー、意外ー！！あ、てか彼氏とかいたらこんなとこ来てないか！！ははは！！」

『は、ははー』

やばいマジでしんどい。
これをあと何回繰り返さなければならないのかと考えるとゾッとした。

「あ、時間だ！送り指名は俺にしてくださいねーっ！！」

ようやく1人目が終わる。次に来たのは青髪のメイクバチバチの男だった。「君の瞳に乾杯」とかよくあるベタなことを言いながら永遠と自分語りをしてくるので一気にHPが削れる。

その次、また次に来た人もよくいる典型的なホストで説明するまでもなかった。イケメンだったり微妙だったり色んな人が隣に座ったが、私にとってはどれもあまり面白くなかった。

そろそろ本気でお酒が不味く感じてきた頃、「隣失礼します」と淡白な挨拶をする男が現れた。

先程のホストと打って変わった素っ気ない態度にどこか安心感を覚える。

「どうも、タバコくれ太郎と申します。」

『...はい、タバ...え、あ！』

ついにタバコくれ太郎もとい、ショッピさんが姿を現す。

彼は突然声を上げた私を怪訝な顔つきで見つめるが、その顔は今までの誰よりも整っていた。

「俺の名前、変ですか？」

『いや違くて、あの、私...コネs』

「あー、あのクソ先輩の言ってた...」

彼はため息をつく。恐らく事情を理解したようだ。
彼はアメジストの瞳をこちらに向け、声を抑えて言った。

「話は後でしましょう。とりあえず、今は、客とホストのままで。」

『わかりました。』

その後、彼とも乾杯を交わす。ようやく終わりが見えてきたからかお酒が美味しく感じた。

彼もぐびぐびと飲み続ける。

「美味いっすね。」

『...たしかにそうですね。』

「多分、貴方が隣にいるからですよ。」

『は、い...！？』

体を寄せてくる。きっとこの人、ガチの営業モードだ。

「送り指名は俺にしてくださいね。」

『...！はい。』

もし仕事関係じゃなかったとしても、私は彼を指名していただろう。

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