任侠には興味なし【d!】 (ページ31)

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「シャオちゃん、Aちゃんが来とるよ！」

「え、まじ？」

続いてシャオロンさんもやってくる。不機嫌そうなシャオロンさんは私を見るなり笑顔になった。

『あの、これ...作ったんでもし良かったら...』

「ええの？」

『もちろんです...』

「ありがとな！後で大先生と食べる！ところで...」

突然シャオロンさんの顔つきがキツくなる。
まるで警戒してる獣のようだ。

「お嬢はなんで最近俺らに冷たかったん？何か、思い出したりした？」

心臓がドクンと跳ね上がる。このまま彼らにバレるとまた何をされるか分からない。ここは、何が何でも嘘をついて乗り切るしかない。
大先生も悲しそうな笑みを浮かべてこちらにジリジリ近寄って来る。

『あー、すみません。この前の仕事から、ここの事をもっと学びたいと部屋で勉強してたんです。』

シャオロンさんは「ふーん」と言って私の顔をじっくりと見てから、

「なんだ、そういうことか。てっきりお嬢が俺らのこと嫌いになったんかと思ったわ。」

『いやいやまさか、そんなことは断じてないですよ！会えなくてごめんなさい！』

「いやええよ、でも、俺ら寂しいからたまには会いに来てな。」

大先生もシャオロンさんと同じように言ってくる。
これは難を逃れたのだろうか？

その後は逃げるように部屋を飛び出し、一目散に部屋へ駈けて行った。

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部屋に戻るとゾムが静かに待機していた。

彼は私の異変に気づいたのか、どうしたのと声を掛けてくる。

『シャオロンさん達にバレそうになった...』

「大丈夫やった？」

『何とか乗り切ったけど...めっちゃヤバかった』

「それはAの顔を見ればすぐに分かるで、お疲れ様やな。」

私を落ち着かせるように、ゆっくり背中をさすってくれる。彼にさすってもらうのも傍から見たらおかしな話なのかもしれない。だけど、この手を許してしまう私がいた。

『ありがとう...』

「ええよ、これが俺の仕事やから。」

『あ、そうだ、これ。』

私はゾムに余らしといたマドレーヌを渡す。ゾムはすごく喜んで「食べてもいいか」と迫ってきた。

いいよと言うとすぐに食べ始める。

「んーーー、最高や。A、ありがとな。」

『よかったよかった。』

こうやってみんなも美味しそうに食べてくれてたら嬉しいと思った。

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