1.組長の娘 ページ3
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「………やろ!他の奴らにバレたらどないすんねん!!!」
誰かを怒鳴りつける声で目が覚める。
重たい体をゆっくりと起き上がらせ、周囲の様子を確認するが、全くもって知らない部屋に困惑する。
怒鳴りつけている男の姿はここからでは見えない。
とりあえず、この状況から分かることが1つある。
どうやら私は誘拐されたみたいだ。
頭が冴えてきたので、改めて自分の状態を確認する。怪我をしている様子もなく、服すら汚れてない。
ここまで丁寧に運んできた様子が脳裏に浮かび、変な気持ちになる。
こういうことを言うのははばかられるが、誘拐されたら行動の自由が効かなくなるものなのではないだろうか。
まあ、それならそれでいい。
体の自由が効くなら、今すぐにでも逃げ出してしまおう。
静かにドアの方へ向かおうとすると、「あ!!!」と誰かに気づかれてしまった。
声の主がこちらに近づいてくるのが分かる。
後ろを振り向くと、
「お前!!ア、ちゃうな、お嬢、何逃げようとしてんねん!!!」
『ぎゃああああああああああ!!』
そこには金髪の、無駄にイケメンな男が立っていた。
あまりのうるささに思わず声が出てしまう。
金髪の男は、目を大きく見開き、
「お前うるさいわ!!!」
いや、ブーメランなんですけど。
しかしそんな事いう間も無く、金髪の男に腕を掴まれ、ソファーに投げられる。
『痛ッ……誰なんですか、あなた』
「あぁ、忘れとった」と金髪の男は私を見下ろしながら真面目な顔つきで話す。
「俺は我々組若頭、捏島孝行。通称コネシマや。とりあえずお嬢にこれからのことについて話すよう頼まれてるんで、このまま言わせてもらいますわ。」
聞きたいことは沢山あるが、とりあえず彼の話を聞いてみよう。
「まず、お嬢は何故俺らにお嬢って呼ばれてるかわかるか?」
『あ、』
そう言えば、意識を失う前もスーツの男にお嬢って言われてたっけ。
『わかんないです』
「せやろな。まあ、簡単に言うとお嬢はウチのドンの娘やねん。」
『ドンの...娘?』
「我々組組長、
『いや、ちょっと待ってください!!』
私の父とは小さい時に死別したと母から聞いていた。
だから、生きているはずがないのだ。
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作者名:らあ。 | 作成日時:2022年11月7日 21時