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犯人に逃げられてしまったことは忽ち組員に広まった。
あの後私は、魂が抜けたように気絶したようだ。
目覚めると、空港のソファーで横たわっており、大先生が近くで見守っていた。
「ん、起きた？｣
『ここは？』
「空港のエントランスや。周りには誰もおらんから、ゆっくりしてええよ。」
何も状況が分からなくて、不安が募るばかりだ。
『大先生？』
「ん？」
『犯人は…？』
「逃げられちゃった。ごめんな。」
『そっか。』
とりあえず、逃げることには成功したみたいだ。
少しだけ安心する。
でも、そうなると聞かずにはいられない。
『ねえ。』
「今度はどうしたん？」
心臓が破裂しそうになる。
どうしてもその一言が言えない。
「なんや、えらい緊張して。」
大先生が隣に腰掛ける。
『大先生だよね？私の父親殺したの』
大先生はそれを聞くと目を見開く。
「なんで……それを…」
『聞こえた。でも私の聞き間違いかm』
「はぁ、まさかAちゃんに気づかれるとはなあ。」
遮るように大先生が口を開く。
「結構慎重にやっとったのに…」
『大先生？』
大先生はこちらを向き、笑顔で言う。
「知ってしまった悪い子にはお仕置や。」
そう言い終わった時には、口元をハンカチで押さえつけられる。
一瞬の出来事だったため、驚いて息を思い切り吸ってしまう。
その時にはもう遅くて、私の意識は朦朧としていた。
「大丈夫。楽になるから安心しいや。」
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再び気絶したAを鬱島は抱き抱える。
美しく眠る彼女にに口付けをする。
「どうする？」
奥から黄瀬も現れ、鬱島の元へ歩き出す。
「俺は殺したないわぁ、だってAちゃん可愛ええもん。」
「それは同感。じゃあ、ヤク漬けにして記憶飛ばしとこか？」
「それがええよ。」
再び彼女の顔を愛おしそうに見つめる。
「良かったなお嬢。ここにずっとおれるで。」
「俺達とこれからも一緒やね。」
彼らは、目覚めぬ彼女を抱き抱えたまま歩き出した。
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作者名：らあ。 | 作成日時：2022年11月7日 21時
