溶けないのは愛【pkmn】 (ページ8)

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3.吹雪く思いページ8

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「逃げないで」という“こうかばつぐん”な言葉によって、いとも簡単に私は彼の言いなりになってしまった。

先程までの絶対に彼とは話さないと考えていたあの強気な感情は消え、現在グルーシャと共にナッペ山ジムの一室に来ている。

「......。」

気まずいのか、一言も話さず、目線すら合わせようとしない彼。

私はどうしたらいいのかも分からず、ただ黙ってその様子を眺めていた。

「あのさ、本当にAだよね？」

『そう...だよ。』

「うん.......そっか。」

全くもって続かない会話に困ってしまう。
私から彼に話すことは無いし、彼が話してくれないと、何も始まらないのだ。

「ひとつ...聞いてもいい？」

『...いいよ。』

「なんで、ぼくの元に来なくなったの？」

『.....っ。』

熱のない、冷えきった目で私のことを見つめてくる。

何故、と聞かれても。
そうするしかないと思ったからだ。

「いや、今のは忘れて。」

私の表情に気づいたのだろうか、かき消すように彼は言葉を紡ぐ。その顔は辛そうで、見ているだけでもしんどかった。

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その後も、何も会話が弾まないまま、時間だけが過ぎていった。

もうすぐ日も暮れそうだったので、何事も無いままお開きになる。

帰り際も、グルーシャはずっと黙ったままだ。

昔のような照り輝く笑顔は全くと言っていいほど無く、ただ終始真顔で、まるで無機物のようだった。

「気をつけて帰って。」

『うん。』

ここで私も「またね」とか気の利いた事を言えればまだ良かったのかもしれない。でも、どうしてもそれが出来なかった。

ずっと大好きだった人に再会できて

死ぬほど嬉しいはずなのに。

バカだな。私。

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