溶けないのは愛【pkmn】 (ページ3)

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1.泡沫の夢ページ3

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辛い時、皆は何をするだろうか。

寝たり、ご飯を食べたり、ゲームをしたり、中には自分を傷つけてしまったり...。気持ちを落ち着かせる方法はきっと人それぞれだ。

私の場合は、とあるスポーツ雑誌を見る。

それも、本当に普通の雑誌。

それの何が特別なのか？と世の人は思うかもしれない。

だけど、私にとっては勇気を分けてくれるものなのだ。

『“ぼくに勝てるやつがいたらいつでも挑戦受けてたつぜ！”かあ...。』

私、Aは、紙面に刷られた写真に、屈託のない笑みを浮かべて映る選手、グルーシャの大ファンだ。

しかも、ただのファンじゃない。密かに恋心を抱く、いわゆるガチ恋ファンなのだ。どこに惹かれたのかと聞かれれば3日程話せるくらいには...。

そんな彼が大々的に取り上げられたこの雑誌は私にとって特別な宝物だ。

『また会えるの...楽しみだな.....。』

次は、あと3日後だ。
彼の大会のスケジュールが記された手帳を見ながら胸が高鳴る。

これをモチベに、頑張ろう。

どんなに嫌なことがあっても、彼とまた会えることを楽しみに生きることが出来るのだ。

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いよいよナッペ山大会当日。

凍える空気が容赦なく私を刺してきた。
まあ、彼の大会に行く度慣れていったけど。

だが、それにしても今日は一段と冷えている。

天気の調子もあまり良くないし、少し不安だった。

(頑張れ...グルーシャ君...。)

心の中で祈りながら、彼の優勝を見守るしか私には出来ない。所詮私はファンに過ぎないから。

しばらくして、彼が軽やかに滑り出したのを見ると、思わず私は息を呑んだ。
やはり、彼の滑りは他の人を惹き付けるような力を持っている。

私もその一人だ。

何回みてもその華麗さに魅せられる。

今日もそうやって私を満たしてくれるんだ。

その時はそう勝手に思っていた。

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