5.雪の中で貴方を ページ13
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どれくらい前か、正確には覚えていない。
とある地方で行われたスノーボード大会を私は友人のすすめで見に行った。
正直、スノボに対してあまり興味はなく、ただ寒いだけだと行く前から乗り気ではなかったのだが、どうしても言うので渋々ついて行った。
しかし、大会の最中も、全くもって楽しさが分からなかった。
確かに選手はすごいと思ったし、到底自分じゃ真似出来ないとも思った。
でも、それだけだった。
それ以上は、何も感じない。
何も感動が分からなかったのだ。
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その後友人と早々に別れた私は、麓のレストランで軽く食事を摂った。
外に出てみれば、辺りは暗く静まり返っている。
日はすっかり沈み、一面の雪がより一層際立っていた。
私は、無意識にその雪景色に見蕩れてしまう。
あの時には感じなかった感動が、ようやく少し分かった気がした。こんな素晴らしい雪化粧、見たことがない。
しばらくその光景を無意識にも見つめていると、ふと、声がかかる。
「お姉さん、何してんのー？もしかしてはぐれた的な？？」
チャラそうな見た目の男。
ヘラヘラしながらこちらに近づいてきたのだ。
私と雪しか無かったその空間をぐちゃぐちゃにするかの如く、目の前にいるこの男は邪魔をしてくる。
気持ち悪いな。
私は言葉を返すのすら億劫でただ無言を貫いていると、次第にその行動はエスカレートしていく。
「えー無視？俺悲しい...って、え、お姉さんめっちゃ美人っすね！！これから暇ならどこか行かない？ねー！」
執拗に腕を掴もうと手を伸ばしてくる姿にに恐怖心を抱く。なんでこんな嫌な思いしなければならなんだ。
そもそもただですら気乗りしないスポーツ観戦なんかに付き合わされ、更には寒さで疲れが溜まってると言うのに。
色々我慢の限界で、正直今すぐにでも号泣しそうだった。
誰でもいいから、早く助けて欲しい。
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そんな時に私の目の前に現れたのが、
「ナンパなんて、アンタ、サムいね。」
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作者名：らあ。 | 作成日時：2023年2月24日 20時
