溶けないのは愛【pkmn】 (ページ12)

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グルーシャは真剣だった。

そのまま、立ち上がったかと思えば私の背後に回り、あの暖かい腕で私の体を包んできたのだ。

これをバックハグ、なんて軽い言葉で済ましていいのだろうか。

「そんなサムいこと、言わないで。」

と、寂しそうな声で弱々しく言う彼に、私の心は押しつぶされそうになる。辛くさせてしまう、なんて思っているのは私だけだったんだ。

むしろ、この行為が彼を“辛く”させていたんだ。

そう考えると、胸が張り裂けそうなほど苦しい。
結局、どこまでいっても私は馬鹿だった。

『恥ずかしい...よ。』

「お願い、もう少しこのままでいて。」

彼は噛み締めるように強く抱きしめてくる。

私が、「お願い」って言葉に弱いって知ってるのに。
本当にグルーシャは狡い。

でも、こんなこと許されるの？

散々彼のことを苦しめていたのに、こんなにも暖かく抱きしめられていいの？

私の疑問は誰にも届かぬまま、無慈悲にも、優しい時間だけが過ぎていく。

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帰り際、グルーシャは言った。

「また、来てくれる？」

少し不安げな顔が、愛おしさを倍増させる。
堪らなくなった私はすぐに頷いた。

すると、満足したのか、彼は少し笑いながら手を振る。

この極寒の雪山に、再び春が来る兆しが見えたような、爽やかな風が吹いた気がした。

それでも、私のココロのモヤは一層強くなるばかり。

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