〜王家の友人と再会(６)〜 ページ10
「おい、林檎頭出な！」
「！！」
急に開け放たれた扉を睨む鹿月とクレア。木々は目立たないよう、横目で男の様子を盗み見た。
「何の用だよ」
「てめーじゃねぇよ、鹿月。黙ってろ。それと銀髪の女、頭がお呼びだ」
『わかった』
木々がぼそりと何かを言っているのに対し、白雪が小さく頷いたのが見えた。
「頭！！連れて来たぜ…」
「おい、冗談じゃねーぞ。ありゃ、ﾞ獅子ﾞじゃねぇ商船だ。それも全隻ーー海兵の旗掲げて進路を塞いでやがる」
前方に拡がるように現れた商船には、海兵を表す旗が掲げてあり、ウミヘビは舌打ちをした。
「何だ、あの数…！！」
「おい…先頭で率いてる一隻は国の船じゃねぇか…！？」
乗組員達の目線の先には、他の船より一際大きな船が先頭を切って、こちらへと近づいてくる。
「あれかサカキ」
「はい」
船の船首にいたラジ達を見ていた商船の男達は、各々にラジについて話をする。
「しかし、噂と違ったなぁラジ王子。船を出してくれって俺らみてーな商人やら相手によ」
「いや…前に見た時はもっとこう…偉っそうな…」
「まぁいいじゃないスか！王子直々に頼まれちゃあ無視できませんよ」
勢いよく近づいてくる一隻の船を白雪とクレアは、黙ってそれを見ていた。
「ラジ王子！！赤髪の娘と銀髪の娘の姿が見えたとの事！」
「！！本当か！無事なのか！？」
「はっ」
ラジのいる船の乗組員が、二人が居たことを報告するとラジは息を巻いて話を聞く。
「やはり捕らえられていたのですね」
そう言うサカキの後ろではキハルが、心配そうに船を見つめる姿があった。
「……ここまで正直…自分が情けないという思いばかりだったのだが…ーー連中に腹が立ってきたぞ」
「…ほう」
珍しく腹の底から怒りを露にしているラジに、サカキは珍しそうに声を洩らした。
「ーー…」
『どうやら、お迎えに来てくれたのは、ゼン達だけじゃあなかったね、白雪』
「…ラジ王子」
少し、身を乗り出すかのように向こうの船にいる人物を見るとクレアは小さな声で白雪に嬉しそうに話した。
「どうします、頭」
「ついてねーな…ちっ、なんであんな数に出くわさなきゃならねぇんだよ。…鹿月が王城から連れ出したあのお嬢ちゃん達を追ってんだったら笑うけどな」
この状況に苛つくしか出来ないウミヘビは、またもや舌打ちを打てば、一つの声が此方へと響いてきた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 306人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クレア(プロフ) - ちよりっこさん» トロウなぁー、まぢで妬かせるかー、んー、もはや夢主なら一緒に手伝っちゃいそうなんだけどな笑 (2015年7月22日 1時) (
レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» 早いね？！トロウちゃん楽しみ！ (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ちよりっこさん» ありがとうー！【６】に移行したよー！ (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» オビがアニメでやったからかな？コメント増えてるー！おめでとー！ (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - あずきさん» 喜んで頂けてこちらも嬉しいです！読んでいただいてありがとうございます！ (2015年7月21日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：クレア | 作成日時：2015年5月17日 0時
