第26話〜父、武風(1)〜 ページ15
ゼンはゆっくりとした動作で剣を鞘から抜けば、男達がゼンへと向かって走り出す。
「上等だ」
そこから一歩も動くことはなく、ゼンは無駄な動きをする事なく剣を振るっていく。
「ちっ」
共に戦うオビとクレア。オビは男に剣を抜かせないように右足で男の剣の柄を押さえると、クレアが短剣で男の後ろへと回り込み、切りつけた。
「ぐあッ」
木々もミツヒデもそれぞれではあるが、目の前の敵を全力で倒していった。
「かし…ら…」
ゼンが横一線に振るった剣を受けた男は、辛うじて出る声で、呻き声に似た声を発した。
「てめえ…ッ放…!!」
オビはクレアが切りつけた男の腕を掴み、関節を掴むと思いきりその手に力を込めるとミシミシと骨の軋む音が聞こえた後に、男は絶叫した。
「いっ、てええ」
オビの手により男の関節が外されたのを、クレアは見向きもせず、頬についた返り血を拭うゼンを見た。
「さて、すっかり大人しくなったな海賊。降参したらどうだ、女頭どの?」
「……ッ」
ゼンの目の前には辛うじて立っているウミヘビは、目を血走らせ叫ぶ。
「ふざけんじゃねぇ!!用心棒稼業だかしらねーが、次から次へと邪魔しやがって…山猿どもが!!」
「なんだ、ご指名だぞ」
「おう…いや゙獅子゙だ!山の獅…」
大将が言い直すのを遮って、ウミヘビの鎌が額をかする。
「しっ、っとォ」
ただでかすらせる訳がない大将は、ウミヘビの鎌の鎖をがしりと掴んだ。
「わりーな゙鉤爪゙。毎度、あとちょっとのとこで取り逃がしちまってよう…ようやく陸に釣り上げてやれる日が来たな」
「おまえら、もう一仕事だ。船に何人か残ってる」
ゼンの低くドスの効いた声が、船に隠れている者達を震え上がらせた。
「一人も逃がさん」
ミツヒデ、木々、オビ、クレアは、ゼンの後を追って船へと攻め込んだ。
「殿下」
船に身を隠していた男達を全て片付けてから、白雪達が待つ洞窟の奥へと行けば、見張りの兵と巳早が顔を出す。
「見張り、ご苦労。終わったぞ」
声を聞くなり、白雪は部屋から飛び出してくる。
「〜〜〜ゼン、王子。木々さん、ミ、ミツヒデさん…っ」
ぼろぼろになった三人を見た瞬間、安心したのか歯を食い縛り俯く白雪にミツヒデは優しく白雪の頭を撫でた。
「ラジどのに、連絡を頼めるか」
「はい!」
「゙鉤爪゙は身柄を拘束した。これから護送して…。まぁ後はタンバルンが始末をつけるだろ」
.
306人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
クレア(プロフ) - ちよりっこさん» トロウなぁー、まぢで妬かせるかー、んー、もはや夢主なら一緒に手伝っちゃいそうなんだけどな笑 (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» 早いね?!トロウちゃん楽しみ! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - ちよりっこさん» ありがとうー!【6】に移行したよー! (2015年7月22日 1時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
ちよりっこ - クレアさん» オビがアニメでやったからかな?コメント増えてるー!おめでとー! (2015年7月22日 1時) (携帯から) (レス) id: 3b0d60b9f1 (このIDを非表示/違反報告)
クレア(プロフ) - あずきさん» 喜んで頂けてこちらも嬉しいです!読んでいただいてありがとうございます! (2015年7月21日 23時) (レス) id: dd228be703 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:クレア | 作成日時:2015年5月17日 0時