vier Geschichte ページ4
・
紫紺色の傘で首から上は見えないが、純白の中華服には見覚えがあった
「ねえ」
聞きたいことが山ほどあるんだ
勿論言いたいことも
しかし、それは無理なんだと悟る
「神威、最期に会えて良かったよ」
力なく崩れ落ちた。夜なのにこんなにもはっきりと見えるのは満月だからなのか
「待ってよ」
死なないで、なんて言えなかった
彼女は笑っていた
幸せそうに、穏やかに
「どうしてそんな顔してるの」
「神威に会えたから」
「何でいなくなったりしたんだよ」
「私は邪魔になるから」
駆け寄って抱き起こすと、じんわりと温かさが伝わってきた
「神威」
「なに?」
「次は、平和にのんびり暮らしたいな。一緒にさ」
「次なんて言わないでよ。今からでも・・・・・・」
結局一度も名前を呼べなかった
最後の最後であんなに名前を呼んでくれたのに
「ねえ、A。次なんて言わないでよ」
「俺強くなったからさ」
「Aありがとう」
「A、好きだよ」
彼女の腹の傷がいまになって体を蝕む
・
funf Geschichte→←drei Geschichte
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:丹取千金 | 作成日時:2021年9月4日 20時