面倒くさい ページ37
数秒の沈黙。
交錯する赤と黒の視線。
目を逸らしたのは、銀時の方だった。
肺の空気を一息に全て出し切ってしまうほどの、盛大な溜め息をつく。
そして、再び三条を見、
「面倒くせェ奴だな」
「……面倒くさい？私が？」
「うん、スッゲェェェ───面倒くせェ」
三条は少し、眉をひそめる。
「『私を認めてください！お願いします！何でもしますから！』って言やァ済む話を、気が済まねェだの、けじめがつかねェだの、ごちゃごちゃ抜かしやがって」
「……それで済むものだったのか……？」
「表面上はな。軽蔑はすっけど」
「それは困る」
「そーだよ、困らせてやろうと思ったんだよ。それなのに……」
そこで銀時は、再びわざとらしく溜め息をこぼした。
「……お前は御役所勤めの武士ですか、コノヤロー」
「つまり気に食わないのか、私が」
オブラートに包むことなく、率直に三条は訊ねた。
すると、銀時はきょとんとして、それから、はあ？と呆れたような声を漏らした。
「んなこと一言も言ってねェだろ」
「では、お前は一体何が言いたいのだ」
じれたように結論を急かす三条を前に、銀時は唇をへの字にひん曲げ、自身の頭を掻き乱した。
「……面白くねェの」
ぽつりと発された一言に、今度こそ明確に三条は眉をひそめた。
「は？」
「だからッ！」
突然、銀時は立ち上がると、三条に人差し指を突きつけた。
「口先だけかもしんねェのに、お前の覚悟ってのを信じたくなっちまってる手前が面白くねェっつってんの！わざわざ言わせんな！」
大声でまくし立てた天パ野郎を、三条は呆然と見ていた。
……とうとう言っちまったな、銀時。
「……これが噂のツンデレか」
ぼそっとヅラが呟いた。
「アッハッハ！まっこと素直じゃないのう、金時〜！」
手を叩いて、辰馬が笑った。
「……」
気づけば、宿営地にいた志士全員が、静かになって銀時を見ていた。
「……っ！？」
自分の言った言葉の恥ずかしさに苛まれたのか、顔を赤くし、銀時は逃げるようにどこかに走り去ってしまった。
「……なんだったのだ……？」
まだ話が飲み込めていないらしい三条は、こてんと首をかしげる。
その肩をポンと叩き、分かってやれ、とだけ言っておいた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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Physics(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございます、ピピコさん……！まさか二作品も私の作品を読んでいただけるとは……！高杉オチということで、なるべく美しい表現をするよう心掛けていたので、その点に触れてもらえて、とても嬉しいです！これからも全力で頑張ります！！ (2017年9月4日 20時) (
レス) id: 363eb1b3ec (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - コメント失礼します！！文章に綴られている言葉とかが全部綺麗でとても引き込まれました！！夢主ちゃんのキャラクターも好きです！面白くて一気読みしちゃいましたー！！続きも楽しみに読ませて頂きます！応援してます！！ (2017年9月4日 15時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
Physics(プロフ) - 零・れいさん» 素敵なコメントありがとうございます！書き方を褒められたのは初めてのことで、嬉しさのあまり思わずにやけてしまいました(笑) 自分の書いた小説を楽しんで読んでいただけることが、一番嬉しいことなので。これからも楽しんでいただけるよう、頑張ります！ (2017年8月25日 16時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
Physics(プロフ) - ひなさん» たしかに怪談話って単語を抜いたら乙女ゲーとか少女漫画に出てきそうな台詞ですよね笑。子安ボイスの有効活用というか笑。ヅラの初恋は近所の未亡人らしいですし、未亡人に新しい夫が出来てて「エッ(°Д°)！？」みたいなのありそうです笑。 (2017年8月25日 16時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
零・れい(プロフ) - オリキャラあまり好きじゃないけど、初めてオリキャラ小説でも楽しめました！書き方がとても丁寧で美しくて、尊敬します！！ (2017年8月24日 23時) (レス) id: 402be4125c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Physics | 作成日時：2017年8月10日 21時
