急展開 ページ29
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ソイツが突然、俺達の前に姿を見せたのは怪談大会をしてから二週間が経つか経たないかの頃だった。
「たっだいまー!!」
夕方、戦で疲れた志士達がドン引きするほどのハイテンションで武器調達から帰って来た辰馬。
刀を手入れする手が止まったのは、次に続いたソイツの言葉だった。
「攘夷小町、連れて帰ってきたき、みんな仲良うせェよ!」
「………は?」
言っていることの半分以上が理解できず、俺は思わず辰馬を見た。
そして、その隣で肩を抱かれ、かなり暗い表情をして立っている見覚えのある女を見た。
「どうしたがか、おまんら。妖怪でも見たようなツラして」
皆が一様に固まって絶句しているのを見渡し、辰馬はきょとんとした。
それから、女の顔を覗き込み、笑いながら肩を叩く。
「アッハッハ!すまんのう、Aちゃん!まっこと、しょうもない男達ばかりで、たまげちょるじゃろ?」
「いや……私はどちらかというとお前に呆れているのだが……」
小さな声で抗議しつつ、目を伏せる。
「なんでじゃ?……あ、ひょっとして、おまんも人見知りながか?」
「……そういうことではなくてだな、」
「おーい!高杉ィ!Aちゃん緊張しちょるみたいじゃき、安心させてやってくれんかのー?」
いきなり話に巻き込まれ、はあ!?と、すっとんきょうな声が漏れる。
すると、三条と目が合った。
『この男をどうにかしてくれ……!』
真っ黒な瞳がそう訴えかけている。
「……」
観衆の視線を一身に受けながら、仕方なく俺は腰を上げた。
三条はほっと息をつき、辰馬は嬉しそうに大手を振る。
異様な沈黙の中、二人の元へと移動した俺は、取り合えず三条を解放させた。
そして辰馬のアホ面に向かって一言。
「……お前なにやってんだ?」
恐らくこの場にいた全員が思っていたであろう疑問をぶつけた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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Physics(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございます、ピピコさん……!まさか二作品も私の作品を読んでいただけるとは……!高杉オチということで、なるべく美しい表現をするよう心掛けていたので、その点に触れてもらえて、とても嬉しいです!これからも全力で頑張ります!! (2017年9月4日 20時) (レス) id: 363eb1b3ec (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - コメント失礼します!!文章に綴られている言葉とかが全部綺麗でとても引き込まれました!!夢主ちゃんのキャラクターも好きです!面白くて一気読みしちゃいましたー!!続きも楽しみに読ませて頂きます!応援してます!! (2017年9月4日 15時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
Physics(プロフ) - 零・れいさん» 素敵なコメントありがとうございます!書き方を褒められたのは初めてのことで、嬉しさのあまり思わずにやけてしまいました(笑) 自分の書いた小説を楽しんで読んでいただけることが、一番嬉しいことなので。これからも楽しんでいただけるよう、頑張ります! (2017年8月25日 16時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
Physics(プロフ) - ひなさん» たしかに怪談話って単語を抜いたら乙女ゲーとか少女漫画に出てきそうな台詞ですよね笑。子安ボイスの有効活用というか笑。ヅラの初恋は近所の未亡人らしいですし、未亡人に新しい夫が出来てて「エッ(°Д°)!?」みたいなのありそうです笑。 (2017年8月25日 16時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
零・れい(プロフ) - オリキャラあまり好きじゃないけど、初めてオリキャラ小説でも楽しめました!書き方がとても丁寧で美しくて、尊敬します!! (2017年8月24日 23時) (レス) id: 402be4125c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Physics | 作成日時:2017年8月10日 21時