【銀魂】 空 蝉 【高杉晋助】

結果 ページ28

結末から先に言うと、あの夜は結局、三条には会えなかった。


その理由は至極簡単で、銀時が用を足している間に、三条の元を辿るために必要不可欠な、笛の音が消えてしまったからだ。


よほど会ってみたかったらしく、銀時は残念そうに舌打ちをかました。


「つまんねェの」


「そんなに会いてェのか」


「お前が知ってる奴を俺が知らねェってのは、なんかムカつくんだよ」


どんなとこでライバル意識を燃やしてんだ、コイツは。


真顔でそんなことを言う銀時から目を逸らし、息を吐きながら告げる。


「……そう焦んなくたって、生きてりゃその内会えんだろ」


実のところ、俺も会えなかったことを残念に思っている口だが、それを口に出しはしない。


永年中二のコイツのことだ、もしそんなことを言ったとすれば、『えっ！？高杉お前もしかして三条サンのこと好きなの！？ヒエエエ！オーイ、みんな！俺達の総督が──(以下割愛)』なんてことになりかねない。


何としてでもそれは避けたい。


「お前にしては珍しくポジティブなこと言うな」


「うるせェ、寝ろ」


隣に転がっている銀時に背を向け、自分の腕を枕に寝ようとする。


が、ビビり屋のソイツは自分が寝る気も、俺を寝かせる気も、毛頭ないらしい。


「あーあ、お前がもっと早くに横笛だって気付いてりゃ会えたかもしんねェのによ」


「……」


「お前がもっと素直で心根の優しい子だったら会えてたかもしんねェのにな〜。あー、本当にがっかりだな〜」


「……寝られねェってんなら怪談話で寝かしつけてやってもいいんだぜ」


「うっそでーす、超眠いでーす、おやすみー」


ようやく訪れた静けさにため息を一つ吐き出した。

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