或る夜のこと ページ27
怪談大会を終え、焚き火を消すと、俺達は明日の戦に備えて寝た。
疲れていたからか、俺はすぐに寝付いた。
「────ぎ、──すぎ、高杉……!」
どれくらい経ってからだろうか。
耳元で俺の名を呼ぶ声と、肩を揺する手に目を覚ました。
「……ん……?」
ぼんやりと霞む視界に映ったのは、天然パーマーのアイツだった。
目を開いた俺を見、ソイツは安堵の息を吐く。
「……よかった、お前なら起きてくれるって信じてたぜ……!」
そんな安っぽい台詞に、自分はろくでもない理由で起こされたのだと悟る。
「………ふざけんな……」
安眠を妨げられた苛立ちを音にしてみたが、銀時には聞こえなかったようだ。
否、聞こえていたが無視したようだ。
「高杉、お前、小便したくね?」
「……したくねェ」
「嘘つけ、ツラに漏れそうって書いてあるぞ」
「……」
「ちょっ、待て……!目ェ閉じんなって……!!」
「うるせェ……一人で行ってこい……」
なんで俺なんだよ、ヅラや辰馬に頼めよ。
そんな俺の心の声を読み取ったかのように、銀時が言う。
「ヅラも辰馬も起きてくれねェんだよ……!このままだと俺、漏らしちゃうよ、お前の上に……!!」
聞き捨てならない発言に仕方なく目を開けた。
「……なら、そこの茂みでしてこい」
「お前もな……!」
「なんで俺まで行かなきゃならねェんだ……!すぐそこじゃねェか、ビビりすぎだろ……!」
「ビビってねェっつってんだろ!変な声聞こえて辰馬の話、思い出してるとかじゃねェし!お前が漏らしたら可哀想だと思ってだな……」
そこで俺は初めて、細く高い音が鳴り響いていることに気づいた。
そして、ふっと笑みをこぼす。
「銀時、よかったじゃねェか、お待ちかねの奴に会えるぜ」
「は……?」
女の泣き声にも聞こえるその音の正体はもちろん横笛。
「こりゃ攘夷小町の横笛だ」
このときの銀時のツラは傑作だった。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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Physics(プロフ) - ピピコさん» ありがとうございます、ピピコさん……!まさか二作品も私の作品を読んでいただけるとは……!高杉オチということで、なるべく美しい表現をするよう心掛けていたので、その点に触れてもらえて、とても嬉しいです!これからも全力で頑張ります!! (2017年9月4日 20時) (レス) id: 363eb1b3ec (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - コメント失礼します!!文章に綴られている言葉とかが全部綺麗でとても引き込まれました!!夢主ちゃんのキャラクターも好きです!面白くて一気読みしちゃいましたー!!続きも楽しみに読ませて頂きます!応援してます!! (2017年9月4日 15時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
Physics(プロフ) - 零・れいさん» 素敵なコメントありがとうございます!書き方を褒められたのは初めてのことで、嬉しさのあまり思わずにやけてしまいました(笑) 自分の書いた小説を楽しんで読んでいただけることが、一番嬉しいことなので。これからも楽しんでいただけるよう、頑張ります! (2017年8月25日 16時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
Physics(プロフ) - ひなさん» たしかに怪談話って単語を抜いたら乙女ゲーとか少女漫画に出てきそうな台詞ですよね笑。子安ボイスの有効活用というか笑。ヅラの初恋は近所の未亡人らしいですし、未亡人に新しい夫が出来てて「エッ(°Д°)!?」みたいなのありそうです笑。 (2017年8月25日 16時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
零・れい(プロフ) - オリキャラあまり好きじゃないけど、初めてオリキャラ小説でも楽しめました!書き方がとても丁寧で美しくて、尊敬します!! (2017年8月24日 23時) (レス) id: 402be4125c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Physics | 作成日時:2017年8月10日 21時