【銀魂】 空 蝉 【高杉晋助】

心外なこと ページ19

裏山に登っている途中で、偶然にも辰馬と遭遇した。


「おお！高杉じゃなか！おまん、生きちょったがか！！」


声も図体もリアクションも馬鹿デカイこの男は、両手を広げてこちらに走ってきた。


「ほれ、冷えた心をわしで温めてええぜよ！」


寸でのところで、奴の抱擁をかわした。


「寄るな、気色悪ィ……」


「冷たいのう。せっかくわしのベリーホットハートをプレゼントしようと思っちょったがに」


「需要ゼロだろ」


「そ、そんなことなか！考えてみィ、」


辰馬は心外そうに口を尖らせつつ、馴染みの女の名を何人か上げてみせた。


「少なくとも、十人は需要あるぜよ」


「お前、女遊び激しすぎだろ」


「ほうか？おまんが遊ばんから、そう思うだけじゃろ」


その台詞に、以前、『黙って目ェ血走らせてるだけでクソつまんねェ男』と遊女に評されたのを思い出す。


ったく、あの女は人の気も知らねェで……。


激しい口喧嘩した後に女と部屋に上がったところで、抱く気になんかなれるわけがない。


───というのは言い訳か……？


そりゃ自分を面白いと思ったことはねェが、そもそもの発端は銀時が……


と、あの時の銀時との口論を思い出して、また腹が煮立ち始めたので、俺は頭を切り替えることにした。


「テメェはこんなとこで何してんだ。他の連中はどうした」


すると、辰馬は自分が何のために山を下りていたのか思い出したようだった。


「そうじゃった、そうじゃった、忘れちょった。……わしゃ、これから武器の調達に行くんじゃ。金時たちなら、この上におる」


「そうか。道中、気を付けろよ」


「おう！任せちょけ！」


ニッと白い歯を見せて笑うと、大きく手を振りながら辰馬は下山していった、

帰還→←厄介事

• 金　運: ★☆☆☆☆
• 恋愛運: ★★★☆☆
• 健康運: ★★★★★
• 全体運: ★★★☆☆

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す