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それから数週間は、話しかけても、「うん」ぐらい。
体を起き上がらせることも、ひとりでは難しい。
リハビリは今、中断しているから。しばらく体を動かしていないからかな。
自由に動けないことがもどかしいはずなのに、いつも笑顔の弟。
俺が勇気を与えてもらっている反面、そんな弟が心配で。
外庭に出ることも、今は許されていない。
自分の足で歩くことができないし、体調もまだ不安定だから。
広いスペースで外庭を見たのも、いつのことだったかな。
それが思い出せないのが、悔しくて仕方がない。
両親と撮った家族写真にも、弟だけ写っていない。
入学式も卒業式も、両親と共に写るのは俺だけ。
弟はその度に、「おめでとう」と言ってくれるよね。
本当は、そう言うことも、辛いはずなのに。
だから俺は精いっぱい、弟に毎日伝える。
『生きていてくれてありがとう』と。
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作者名：はるけいとつ | 作成日時：2023年3月29日 15時
