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「やばいっ」
なんで気づかなかったんだろう。
A、いつもと様子違うくて、おかしいって思ってたのに。
…きっと泣いてたのに。
Aにだけバスタオルを掛けて
お姫様抱っこで急いでベットへと運ぶ。
心臓は…
ちゃんと動いているみたいだし、
ひと安心したのもつかの間
直ぐに水で濡らしたタオルを持ってきておでこに乗せた。
ベットに横たわるAの頬を撫でながら
少し腫れているAの目を触る。
『太輔が辛いって思ったらやめるんだ。
…どんなにAさんのことが好きでも。』
渉に言われた言葉がフラッシュバックする。
…辛くない。
そう断言出来るかと言われたら…。
正直できないと思う。
辛かったから、昨日、俺はキャラじゃないのに泣いたんだって分かってるから。
でも、、
そばに居たい。
この想いは日に日に強くなる。
渉の忠告をずっと受けてたから、俺は
気持ちが声になる前に
深く底へ 沈めて閉じ込めていたのに…
最近それが…もう出来なくなってきてる。
渉、俺、…どうしたらいいのかな。
腫れ気味の目は普段のまぶたより柔らかい。
ねぇ、A。
俺は離れたくないんだ。
でも、、俺の存在がやっぱり
Aを苦しめてるのかな。
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「やべ、真っ裸だわ。」
自分の格好を見て、ちょっと焦る。
Aが目を覚ました時、
こんな格好だったら笑うだろうなぁ、
「たーくん、服きて!」
ってキレ気味で。
そんな事を、頭で考えながら
とりあえず服着ようとお風呂場に取りに行く。
Aが目を覚ました時、隣に居ようと
できるだけ急いで寝室へと向かうと、
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目を覚ましたらしいAが
天井を仰いで静かに泣いていた。
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作者名:れんり。 | 作成日時:2019年3月3日 14時