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力が少しいつもより込められた腕と、
肩に感じる彼の頭の重さ。
f｢だからね、さっき優しく抱いてあげれなかった。
Aは俺の。
俺を求めて、
俺を見て、
俺だけをちゃんと、愛しててよ。
って思っちゃったんだ。
…ごめん。ちゃんと覚えてたよ。
Aに言ったこと。
その言葉はちゃんと本心。
でもさ、中島さんの幸せそうな顔見ちゃったら
Aは俺のだって、
Aは俺と居る方が笑うんだって。
そんな黒い気持ち勝っちゃって。
最低だよ。｣
掛けれる言葉が見つからなくて…。
｢あの、ね、太輔…｣
彼の泣いた理由が分かったから、
私の涙の理由も言うべきだって、
そう思ったから。
振り返って太輔の方を向いた。
なのに、
ﾋﾟﾋﾟｯ
2度目の風呂のベルが部屋に響いて。
f｢あ、お風呂忘れてたね
一緒に入ろ？｣
｢…ん｣
乾いた笑顔。
言いかけた言葉と
哀しんでいる脳、
そして苦しい身体を飲み込んで隠して、
私は彼と
通常のカップルのように浴室へ向かう。
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作者名：れんり。
| 作成日時：2019年3月3日 14時
