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それから渉とパン切り包丁とか、たわいない話をしながら楽屋に戻って
朝早くから始まった撮影を終えれば
時刻は午後5時過ぎ。
…結構早いじゃん。
誰かに連絡しようかと携帯を取り出すけど、
あー、でも今日Aはダメだって言ってたしな〜。
わたも仕事だし…。
大人しく帰るか。。
『藤ヶ谷さん!こちらにいらっしゃったんですか!』
「ん〜?何?どしたの、中島さん」
スマホとにらめっこしていたら
俺を探していたのか少し小走りでこちらに寄ってくる中島さん。
『探してたんですよ〜、
今日は僕が送るので帰りは僕のバンでお願いします!』
「今日は中島さんなんだ?
…あ、そーだ、一緒に飯でも行かない?」
わたのおかげでさっきまでと同じように機嫌がよくて、
丁度お腹すいてたし、中島さんを誘うと
彼は少し申し訳ないように
『…すみません。藤ヶ谷さんから誘ってもらえるのは凄い嬉しいし、せっかくなんで行きたいんですけど…
今日は…彼女と約束してて…』
って。
聞かなきゃよかった。
あー、
だからAは今日ダメだって言ってた訳ね。
でも俺は
「…あぁー、そっか…。
それは大事だもんね。気にしないで??
何?記念日??笑」
なんて聞いてしまう。
『はい笑
5年記念日なんです…。
彼女が早く帰ってこいってうるさくて 笑
料理作って待ってるらしいんですけど』
嬉しそうに、恥ずかしそうに俯きながら話す彼は何故か眩しすぎて…
「結構長いんだねー
料理か〜、、早く帰ってあげないと!
Aさん、怒るよ〜?
星哉!料理が冷めちゃう!って笑」
『そうですね、アイツ怒ると怖いんで 笑』
…知ってるよ。そんなこと。
なんて言葉は口から出すことも許される訳なく。
大丈夫。明日Aに会えるんだから。
そう、心に唱え続けて。
彼に笑いを交えながら話すので精一杯だった。
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作者名:れんり。 | 作成日時:2019年3月3日 14時