6.お菓子をあげれば ページ7
片付けを終えて、教室に戻る。
「おいしょ、っと。」
私はグイッと伸びをして、扉を開けた。
カラリ
茜色に染まった教室に、少しだけ輝く金髪。
「グルッペン…くん?」
机に突っ伏しているのは、どうやら彼らしかった。
恐る恐る近付いて、トントン、と叩いてみる。
…起きない。
グルッペンくんの正面に回ってみると、小さな付箋がおでこに付いていた。
『疲れてるみたいで、しばらく起きません。起こすときにはお菓子を鼻の前にぶら下げると、飛び起きます。』
「トントンくんか…。」
いかにも、優等生!といった文字が小さく並んでいる。
お菓子をぶら下げると飛び起きる…って、トントンくんナチュラルにディスってるよね、グルッペンくんのこと。
少し笑って、無防備に眠っている彼の寝顔を見つめた。
んー…飛び起きる瞬間を見てみたい……なんて。
スコスコと寝ているグルッペンくんは、どんな顔して飛び起きるんだろ…とか考えちゃったりして。
お菓子あったかな…と制服のポケットを探った。
「あ、良いの見っけ…!!」
余った1つのマドレーヌ。
袋のまま取り出して、鼻の前でフルフル…と振ってみた。
gr「んあッ…!!」
「わッ…!!」
変な声を漏らして、ガバッと起き上がったグルッペンくん。
眠気眼で、辺りを見回している。
「おはよう。マドレーヌ、食べるー?」
gr「青木さん…か。」
「Aで良いよ。…ごめんね、まだ寝たかった?」
gr「いや…そろそろ起きなきゃ夜に眠れなくなるから、逆にありがとう。」
少し、ふにゃっと笑ってくれた彼に私も微笑む。
「いえいえ。」
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アリア(プロフ) - これ,,,,,,人にお菓子をあげた時の意味と絡んでて神やん (2022年10月23日 20時) (レス) id: 21f868d929 (このIDを非表示/違反報告)
ネル(プロフ) - ぷりんさん» ふふふ、かっこ良く書きました!笑笑 (2020年6月24日 6時) (レス) id: 138836bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん(プロフ) - さいごぉ!カッコ良すぎます (2020年6月24日 5時) (レス) id: 26233b1df2 (このIDを非表示/違反報告)
ネル(プロフ) - おいちこさん» レス遅れてすみません…! 私もされてみたいなぁ、と笑 青春ですねぇ…。 完結までご愛読ありがとうございました!これからも頑張りますね! (2020年4月11日 14時) (レス) id: 138836bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
おいちこ - 最後の低いバリトンボイスで囁かれるのは、神!!えぇなぁ...青春やなぁ...んふふ笑笑 完結おめでとうございます!これからも頑張ってください!! (2020年4月11日 11時) (レス) id: 5a28085a2a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ネル | 作成日時:2020年4月1日 14時