18.彼にとっての大切な人 ページ20
「どうしたの?」
gr「…図書室で本、借りてただろ?」
「え、うん…借りたよ?」
そう答えると、グルッペン君は少し躊躇いがちに呟く。
gr「えと…意味不明ならそれで良いんだが。」
「?うん。」
gr「あの本のこと、覚えてるか…?」
ひゅッと喉が鳴った。
不安げに光る紅の中に、青が映る。
___この人は覚えてるの…?
ちら、と彼を見上げ口を開く。
「覚えてる…よ。…グルッペン君は…?」
gr「覚えてる。全部。」
生徒会室の窓から陽が差し込んだ。
きらきらと光る金髪は何にも変わらない。
紅茶の香りに包まれた生徒会室が総統室に重なった。
思えば、本棚の配置も会長の机もカーテンの色も。
総統室によく似てるな…なんて。
安心したように背もたれに体を預けるグルッペン君は少し微笑んだ。
gr「トン氏も記憶があるからな。…出来るだけ総統室に似せてみた。」
「ほー…。今まで記憶は無いんじゃないかと思ってたから…偶然だと…。」
gr「意図的です。」
ふふふ、と自慢げに微笑む彼に私も微笑みを返す。
「良かった…グルッペン君が覚えてて。」
gr「忘れる訳無いだろう。」
彼は少しだけ頰を染めて私から視線を逸らして呟いた。
gr「大切な人なんだから。」
少し嬉しいなぁ、なんて。
無意識のうちに顔が綻ぶ。
また出会ってくれてありがとう、グルッペン君。グルッペンさん。
19.またケーキ作ってくれへん→←17.トントン君のお眠りたいむ
371人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
アリア(プロフ) - これ,,,,,,人にお菓子をあげた時の意味と絡んでて神やん (2022年10月23日 20時) (レス) id: 21f868d929 (このIDを非表示/違反報告)
ネル(プロフ) - ぷりんさん» ふふふ、かっこ良く書きました!笑笑 (2020年6月24日 6時) (レス) id: 138836bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
ぷりん(プロフ) - さいごぉ!カッコ良すぎます (2020年6月24日 5時) (レス) id: 26233b1df2 (このIDを非表示/違反報告)
ネル(プロフ) - おいちこさん» レス遅れてすみません…! 私もされてみたいなぁ、と笑 青春ですねぇ…。 完結までご愛読ありがとうございました!これからも頑張りますね! (2020年4月11日 14時) (レス) id: 138836bbb2 (このIDを非表示/違反報告)
おいちこ - 最後の低いバリトンボイスで囁かれるのは、神!!えぇなぁ...青春やなぁ...んふふ笑笑 完結おめでとうございます!これからも頑張ってください!! (2020年4月11日 11時) (レス) id: 5a28085a2a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ネル | 作成日時:2020年4月1日 14時