無個性9 ページ10
・
残り時間五分程。
『えっと今は....42だっけか』
砂ぼこりで薄汚れた右手親指から指を折りながら、改めてポイントを確認する。
ポイントを稼いでいくうちに、派手な攻撃をすれば敵が寄って来るということが分かった。なら思いきって、と手のひらから細長いツルを生やした。
そのまま私を中心に勢いを付けて振り回せば、それに触れたビルが次々とドミノのように倒壊していく。しばらくそれを繰り返していると、反応した敵機械がどんどん押し寄せて来た。
《標的確保‼》
『よっ、しゃ』
とりあえず片っ端から他の受験生に取られる前に敵の攻撃を避けながら潰して行く。
『これで51ptか』
不意に手に目を向ければ、既に中指が変色して来ているのがわかった。そして疲労感もどっぷり。
残り一体、そいつを倒していると左付近から他のものとは比べ物にならない位のギミックが現れた。メリット無しの0pt架空敵だ。周りの子は蜘蛛の子のようにあちらこちらへ散って行く。
私も逃げたほうがいいな。
51ptもあれば充分だろうと踵を返し引き返した。
が、しかし。
「...ってえ！」
電気を帯びた金髪の少年が、0pt仮想敵が出現した際に飛び散った瓦礫の下敷きになっていた。
呆然と見つめていると、そいつと目があった。それは助けを乞うような恐怖が混じった目。後は踏み潰されるのを待つだけだ。
『(助けるか、逃げるかーー)』
逃げればまだ稼げる、助けてもメリットはない。腕も腐りきって使い物にならなくなるだろう。前者の方が、圧倒的に自分の為になるが、
ーー助けるしかねえじゃんか。
目の前で困ってる奴を見捨てて受かっても後味悪ィだけだ、と意味のない行動に無理矢理理由を付けて、来た道を引き返した。
チカチカと電気を発して必死に抵抗するそいつと目が合う。すると私が戻って来ているのに気付いてか必死に引き止めてきた。
「待てよ！俺なんか放って置いて逃げろ！」
『うだうだ喋んな！助け求めたんはてめえだろうがよ！』
「......っ！」
勝とうと考えるんじゃない、守るんだ。手から無数ものツルを出して、巨大ギミックからの攻撃を防いだ。
そしてそのツルをギミックに巻き付けて、空高く飛び上から力を込めた拳をぶつける。
『ぶっ壊す！』
渾身の力を受けたギミックは積み木が倒れる様に、崩れて行く。そして全壊するのを眺めながら、無抵抗に地面に叩きつけられた。
「おいっ、大丈夫か！？おい！」
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 577人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まっちょヒーロー(プロフ) - んさん» 読み進めて頂ければ後々説明があるのですが、ヒロインは<特別推薦>という設定で、筆記は免除の代わりに実技はみんなと同じように受ける試験の仕組みになっております。わかりにくくて申し訳ございません。 (2021年7月11日 4時) (
レス) id: bd2b404748 (このIDを非表示/違反報告)
ん - ヒロイン推薦なんですよね？何でデクたちと同じ日に会場にいるんですか？ (2021年3月22日 21時) (レス) id: 0324f0d530 (このIDを非表示/違反報告)
ライカ(プロフ) - すいません！YouTubeから来たライカという者ですが、この作品、毎日見てるんですけど、全然飽きませんね！その文才をちょっとください！ (2017年7月21日 22時) (レス) id: 5fc3e44d27 (このIDを非表示/違反報告)
まっちょヒーロー(プロフ) - 黒虎さん» ありがとうございます！載せさせてもらいます！ (2017年6月16日 6時) (レス) id: 9de6d60241 (このIDを非表示/違反報告)
黒虎(プロフ) - まっちょヒーローさん» 大丈夫です！ (2017年6月16日 1時) (レス) id: 71962d5520 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
