【ヒロアカ】無個性という個性【爆豪勝己】

無個性6 ページ7

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爆豪に引きずられ、地下鉄揺られること約四十数分。

時計と校門前に示されている受け付け時間を交互に見て、まだまだ余裕があったことを知る。

ぜえはあと肩で息をする私の横で、余裕気にくわっと欠伸をする爆豪に不満を吐いた。

『いきなり走んなよ！』

「お前が遅えんだろ死ね」

また死ねかよ、とボキャブラリーの浅さに呆れていると、私を置いて爆豪は一人で会場にずんずんと足を進めていた。柄の悪さからか爆豪の前には自然と道が開ける。あれ、一緒に来た意味なくね。

ーー流石ヒーロー養成学校。とてつもなく広い。

テレビでしか見たことないスケールに、自然と息が止まる。

少しの間眺めていると、視界の下端にわかめが泳いでいるのが見えた。

ーーあ、あのモジャモジャ、出久だ。

出久に声を掛けようとするとその近くから俺の前に立つな殺すぞ、とかいう言葉が聞こえて来た。怖えよ絶対爆豪だろ。

たったっ、と出久の元に辿り着くときにはもう爆豪は消えており、足速えなと全く関係ないことを連想しながら改めて出久に話し掛けた。


『出久、はよ』

「あ、Aちゃんおはよう！」


朝からにぱっと眩しい笑顔で一緒に行こう、と誘ってくれた。前の事もあり嫌われてるのかと思ってたこともあり、安心してつい頬が緩む。


馬鹿をでかい時計を見れば、まだまだ時間があるようだ。先ほど思いきり走ったからか、喉が乾いた。受験に響くかもしれないので、念のためになにかで喉を潤すことに決めた。

『ごめん、飲みもん買って来るからちょっと待ってて』

「うんわかった！」

学校のすぐ前の自動販売機に寄り160円を入れた。買おうと思っていた暖かいココアやホットレモンなどは、もうすでに赤字で売り切れと示されており、仕方なくいつもと代わり映えのないリンゴジュースのボタンを押す。

『あれ』

押しても何も出てこない。壊れてるのかと返却ボタンを押すが代金も出てこない。

『くそ、自販機に金盗られた！』

大袈裟に揺らしても出てこない。朝から最悪だ、早速受かる気しねえ。

『っお』

苛立ちから道端の石ころを蹴りながら曲がると、肩がウルトラな髪色の人に当たってしまった。謝る暇もなく行ってしまったので、一応頭だけ下げておく。

つか、出久待たせてるんだった。

『出久、お待たせ』

校門を覗くと「おおおっお、おおおっ」と奇声を発して周囲に引かれていた。出久、私でもそれはさすがに引くよ。


((ごめん待たせた、行こ))

((う、うん！))

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