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夢主side
「…なんだい？僕の顔がそんなにおかしいかい、ははっそうだろうね、誰から見てもくまが酷いらしい」
薬が丁寧にしまわれている薬箱を、疲れたように漁りながら話しかけてるウッズの手つきは手馴れている
「薬、貰い慣れてるのね」
「え、ああ、…そうだね、そろそろここに来ることも無くなるけどね」
見るからに不機嫌そうなフロイドが、ウッズに言葉を投げつけるようにした声色で声をかけた。
「退学すっから？」
「ははっ！君は随分と僕の事が嫌いらしいな、そうだよ。退学処分で済んだのさ」
「え、そうしたらどうしてまだ学校に居られるんでしょうか？」
薬を見つけたウッズは錠剤を一つ一つ潰すように押し出す。ひとつ、またひとつとやっているうちに錠剤の数は、些か飲むには苦しそうな数になった。
「僕の家庭が特殊で色々あってすぐに帰れないんだよ。確かに僕は退学処分を受けたけど、行く宛てがないから“優しい”学園長が在学期間を伸ばしてくれたんだよ」
「それってぇ居ずらいだけじゃね？」
「そうだね、多分これは陰湿な罰則だよ。もうこの学校の生徒ではない僕には何もして責任は問われないから」
「ちょっと」
話しながら多量の錠剤と、備え付けの手洗い場から紙コップで汲んだ水を手に、
部屋から出ようとしたウッズの手を掴んで止めた。
「過剰摂取よ。見たところそれ睡眠薬でしょう、自傷行為は感心しないわ下手をしたら死ぬもの」
「随分と優しいものだね、自分の命を狙ったやつになんかに情を掛けるものじゃない」
「情じゃないわ、今見過ごしたら私たちが加担した見たいで夢見が悪いのよ」
自分以外の手を掴んだのが嫌だったのか、フロイドが私の後ろから腕を回してすっぽり収めてしまった。
「ひゃっ！」
「じゃあそう言うことだからばいばぁ〜い、薬は置いてってね」
「せ、先輩！恥ずかしいわ！」
「いいじゃん小エビちゃんオレにかまってくんねぇし」
「TPOってものが、」
「あはははっ！！」
ウッズは2人の会話を見てなのか、急に笑い声を上げた。いっそ清々しい笑い声は、簡素なベットとパイプ椅子だらけの部屋に響いた。
「随分とお熱いね、僕の入る隙も無いみたいだ！」
「でしょ、オレたちアツアツだからほっといて」
「噫、そうさせてもらうよ」
ウッズは多量の錠剤を規定量分だけ拾うと、今度こそ部屋から出ていった。去り際に何だか祝っているようで皮肉めいていた言葉を今でも覚えている。
「泡にならないといいね、人魚くん」
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作者名：病み病みスリッパ | 作成日時：2020年6月25日 18時
